公明党県議会ニュース
【2023(令和5)年第2回定例会】7月11日

 
1.代表質問から
 
県民のくらしの安全・安心の確保に向けた取組
 
最近の巧妙化・悪質化する特殊詐欺や、高齢者を巻き込む悪質な犯罪、若者を巻き込む凶悪犯罪が増えている状況から、これまでの対策から一歩踏み出し、条例の改正を含めた対策の強化について、知事の見解を質しました。
県としては今年度、防犯カメラの設置を大幅に拡充するほか、特殊詐欺をテーマとした絵本の作成や闇バイトに関する普及啓発、悪質な訪問販売防止のキャンペーンを実施するとのことです。
当会派としては、特に、住まいの防犯対策の強化に向けた専門窓口について一刻も早い設置を求めるとともに、必要に応じ、「安全・安心まちづくり推進条例」の改正を図るなど、さらなる対策強化を要望しました。
 
県立保健福祉大学における公衆衛生人材の育成
 
現在、県内各地域で専門性の高い保健師など「公衆衛生人材」が非常に不足しており、将来に向けて積極的に人材育成に取り組む必要があります。そこで将来の保健医療を見据え、県立保健福祉大学において専門課程を設置するなどにより、公衆衛生人材のさらなる強化に取り組むべきであると訴えました。
知事からの答弁の概要は以下のとおりです。
県立保健福祉大学の大学院に「ヘルスイノベーション研究科(SHI)」を設置して人材育成に取り組んでおり、今後SHIが行っている授業を大学全体に展開するなど学生の知識や関心を高められるカリキュラムを検討していきます。また公衆衛生人材の育成については、専門課程の設置の可否も含め、具体的な育成方法について大学と調整していまいります。
 
水産物の養殖の事業化の取組
 
神奈川県では令和5年度から魚類養殖の技術開発に取り組んでいますが、技術開発のみに終わるのではなく、その技術が現場で活かされ、ブランド化され、漁業者の所得の向上につながる仕組みを考える必要があります。そこで養殖の事業化について県の具体的な取組について知事に質しました。
県としては、魚類養殖の技術開発のみならず、狭い場所での養殖の事業化や、付加価値を高めた魚でブランド化を図るなど、本県特有の条件に合った取組を進めるとのことです。 
 
社会的養護が必要な子どもの意見表明を支援する体制強化
 
令和64月に施行される改正児童福祉法では、児童養護施設などに入所中の子どもの意見表明や権利擁護に向けた環境整備が、都道府県に義務付けられています。社会的養護が必要な子どもの思いを受け止め、子どもの権利を保障することにどのように取り組んでいくのか、「子どもアドボカシーセンター」設置など体制整備を含めて、知事の見解を質しました。
県としては、子ども自身の望みや願いを聞き取り関係者に伝える「意見表明等支援員」の養成を進めるとともに、子どもの意見や思いをしっかりと受け止め、子どもの権利を守るための「仮称かながわ子どもの意見をきくためのアドボカシーセンター」の設置を検討するとのことです。
当会派としては、明年4月の設置に向け、着実に取組を進められるよう要望しました。
 
障がい者雇用の促進におけるネットワークづくり
 
障がい者が生き生きと働ける場所をさらに増やしていくために、企業・就労支援機関・障がい者、三者のネットワークづくりやマッチングの仕組みづくりについて知事の見解を質しました。
県では今後、障がい者が従来の枠にとらわれず、希望する仕事を多様な分野から見つけられるよう、農福連携をはじめとした幅広い分野で活躍できるよう、就労支援機関に働きかけマッチング機能を拡充するとのことです。
当会派としては、労働と福祉が一層連携していくために、障がい者、就労先の事業所、就労支援機関をつなぐ新たなネットワークについても早期に構築されるよう要望しました。
 
帯状疱疹ワクチン接種の促進
 
激しい痛みを生じ、重い後遺症が残ることもある帯状疱疹は、50歳以上の3人に1人が発症するといわれています。予防には帯状疱疹ワクチンが大変有功ですが、接種費用が高額であることが課題となっています。東京都では令和5年度から50歳以上を対象に接種助成を行う区市町村に、費用の半分を補助する制度をスタートしました。本県においても補助などを含めた環境作りに取り組むべきと考え、知事に県としての見解を質しました。
県としては、ワクチンの有効性および接種費用が高額であることが課題であると認識しており、国に対し早期の定期接種化を要望するとともに、予防接種の事業主体である市町村の状況や意向を確認し、接種費用の補助について検討していくとの回答がありました。
 
小規模事業者に対する金融支援
 
コロナ禍において実施したゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、中小企業の倒産が増加しています。ゼロゼロ融資の借り換えに利用できる「伴走支援型特別融資」は経営行動計画の作成が必要であり、日々の業務に追われている小規模事業者とって高いハードルとなっています。今まさに、小規模事業者の実態に即した利用しやすい融資の仕組みが求められています。このようなニーズに応じた支援を実施すべきと考え、知事の見解を質しました。
県では、小規模事業者の資金繰りを支える金融支援は特に重要と考え、限度額が2,000万円の「小口零細企業保証資金」など、様々な融資メニューを用意していますが、同資金は保証料率が高く、小規模事業者からは、より小口でよいので計画書の作成が不要で保証料率も低い融資が求められています。
今後、金融機関や商工会・商工会議所等の支援機関へのヒアリングを通じ、より多くの小規模事業者に活用していただける新たな融資メニューを検討するとの回答がありました。
 
2.一般質問から
 
一時保護所に入所する子どもへの支援
 
一時保護所で生活する子どもの8割以上が、親からの虐待が原因で入所をしています。特に保護が長期化している子どもたちは、心身のストレスが高まっており、現在行っている児童心理司による定期的なカウンセリングに加え、今後は、弁護士等とも連携しながら、悩みなどを丁寧に聞き取り、一層きめ細やかな支援に生かしていくことが求められます。また、一時保護所に内在する課題を発見し、保護環境の改善を図るために、第三者評価の本格的な実施を早期に実現していただくことを要望しました。
 
アレルギー疾患対策の推進について
 
県では、本年3月にアレルギー疾患対策推進計画を改定しました。
当会派は、地域のかかりつけ医で適切な診療を受けられるようにするための「アレルギー医療の均てん化」や、高度な診療を行うことができる専門性の高い医師の育成に向けた拠点病院と大学病院との連携、さらには県のアレルギー疾患対策推進協議会への患者や関係者の参加など、計画の中身をしっかりと進めていくことを求めました。さらには、アレルギーエデュケーターなどの専門家に研修等に協力していただくために、計画推進に必要な予算の確保も要望しました。
 
県営住宅の建て替えに伴う共益費
 
建て替えの対象となる県営団地については、早ければ工事が始まる十年前から新規の入居者募集を停止するため、入居者が減少し、それに伴い共益費も減収となり、共用部の適切な維持管理が困難になっています。
知事からは、建て替えを予定しているすべての団地の自治会から詳しい聞き取りを行い、なるべく早期に具体的な支援策を取りまとめるとの答弁が得られました。
 
中小企業における価格転嫁の促進
 
原材料価格や光熱費の高騰が続く中、中小・小規模事業者がコストの増加分を適切に価格転嫁することが重要です。県は企業間取引の適正化を進める「パートナーシップ構築宣言」の普及と実効性の向上に取り組んでいますが、サプライチェーンの川下で専ら受注側にいる小規模事業者にとって、価格交渉は難題です。
県として、下請け企業が価格転嫁するためのノウハウや、価格交渉の際に必要となる資料作成支援ツールをホームページで提供するとの答弁がありました。
 
フリースクール等との連携と支援
 
フリースクール等は、不登校の児童・生徒への支援について重要な役割を担っているものの、その定義については法令上の位置づけが明確に定められておらず、行政からの直接的支援にも制約があります。そのため、利用にあたっては月額にして平均3万3000円ともいわれる費用が必要となり、保護者にとって重い負担となっています。今後、教育委員会と知事部局が連携して、フリースクール等で学ぶ児童・生徒や保護者に対しどのような支援ができるのか、国の動向も見据えつつ、しっかりと検討するよう求めました。  
 
視覚障がい者の安全確保に向けた信号機の整備
 
スマートフォン用アプリケーションを利用し、歩行者用信号の状態を音声や振動で知らせる高度化PICSを、県警察としてこれまでの48か所に加え、今年度は24か所に整備する予定です。
東海はからは、今後も着実に整備を進めるとともに、スマートフォンの操作に不安な方々が取り残されることのないよう、周辺の状況が許すところには従来の音響式信号機の活用も進め、視覚障がい者が安全・安心を実感できる歩行空間の創出に取り組むよう要望しました。
 
3.常任委員会・予算委員会から
 
保健師修学資金の新設
 
県内自治体で仕事をする保健師を今後10年で800名増やす目的で新設される保健師修学資金は、県内自治体で連続して5年間、保健師業務に従事した場合に限り、返還が免除されますが、その5年間の起算点を明確にするとともに、育成された保健師が実際に県内で働けるよう、県及び市町村の採用枠増にも取り組むよう要望しました。
 
豚熱対策
 
県では、令和37月以降、豚熱は発生していませんが、近隣の13県では昨年度9件の発生事例があり、その詳細を見るとワクチンが必ずしも万能ではないことがわかります。一度発生すると被害が甚大となる豚熱は、畜産農家や地域の食を守るという観点からも、予防の取組が重要です。引き続き飼養衛生管理の強化に向け、生産現場の実態をしっかり把握して発生予防に取り組むことを要望しました。
 
中小企業の脱炭素化の促進
 
2030年度の温室効果ガス排出量50%削減を達成するために、県内事業者の99.7%を占める中小企業に対する支援が重要です。相談窓口における相談の状況や中小企業に対する調査結果などを踏まえ、県としてアウトリーチでの支援に取り組むことを要望しました。
 
国庫補助金等の確保対策
 
ケアマネージャーの実務研修費に活用できる国の教育訓練給付制度について、県内在住の受講者が制度を活用できなかった事例を予算委員会で指摘しました。受講者が給付金を得るためには、研修機関が厚生労働省に申請し指定を受ける必要がありますが、今回の事例は、県が研修機関に対し制度の周知や申請の必要性を十分に働きかけなかったことによって起こりました。今後についても、国の教育訓練給付制度をはじめ国庫補助金等、県民負担の軽減につながる制度については、その周知や活用に万全を期すよう要望しました。
 
物流の2024年問題対策
 
貨物運送事業者は、コストに見合った適正な運賃が収受できていない状況に加え、担い手不足、即日配達や再配達等による物流負荷など、多くの課題を抱えています。さらに20244月からは、トラックドライバーの時間外労働に年間960時間の制限が設定されることから、物流の2024年問題に改めて焦点が当てられています。
これらの課題に対し、国は「標準的な運賃の告示制度」による適正な運賃を示しています。適正な運賃の収受が賃金水準の向上につながることから、県に対して、しっかりと荷主企業に周知を図ることを要望しました。
 
【知事への緊急要望が補正予算に反映】
 
①LPガスの負担軽減が実現、かながわPay第3弾は7月実施
公明党神奈川県議団は3月、黒岩祐治知事に対し、「物価高騰から県民生活を守るための緊急要望」を実施(=写真)。その際、LPガス利用者の負担軽減や「かながわPay(ペイ)」第3弾の速やかな実施など、5項目を要請しました。その結果これらの要望内容が県の5月補正予算に盛り込まれました。
LPガスについては、販売事業者への支援を通じて、利用者の負担軽減を行います。具体的には、県内のLPガス利用者に今年7月から9月の請求分で料金の値引きを行う販売事業者(県外含む)に対して、支援金を支給します。支援額は、1契約あたり2,280円です。
一方、キャッシュレス決済で支払額の一部をポイント還元するキャンペーン「かながわPay」の第3弾は、727日午前10時から開始。予算上限に達すると終了となります。ポイントの利用期間は、83日から1130日まで。還元総額は100億円で、支払った金額の10%から20%がポイント還元されます。1人当たりのポイント還元の上限は3万円です。