◉令和2年 第3回 定例会 代表質問

1)AIを使った防災対策について

 

亀井質問

本県では、8月に、CIO、CDOとして民間から人材を迎え、「かながわICT・データ利活用推進計画」に掲げた、「行政の情報化」と「くらしの情報化」を進めている。
また、11月には、「デジタル戦略本部室」を設置し、各局が様々な分野で取り組んでいる「くらしの情報化」の取組を、デジタルの側面から支援するなどにより、DXを推進することとしている。
昨今、全国的に甚大な台風災害が生じるなど、地震や風水害における防災対策の拡充は喫緊の課題であり、そこにAIなど先進的なデジタル技術を使って取り組んでいくことは、まさしくDXの取組である。
そこで、防災対策について、これまでどんなデジタル化に取り組んできたのか、また、今後取り組もうとしているAIを使った防災対策とは、どのようなもので、県民生活にどのように役立つのか、併せて所見を伺いたい。
 

知事答弁

はじめに、AIを使った防災対策についてお尋ねがありました。
県では、昨年度、組織・チームのためのコミュニケーションツールであるラインワークスを活用して、県と県内消防本部が瞬時に情報共有できるシステムとして「Kアラート」を構築し、かながわ消防の初動対応力を強化しました。
また、今年度からは、災害時に住民がSNSで発信する数多くの情報から、AIがその内容を解析して、情報の重要性や真偽を判断し、リアルタイムに配信するサービスを試行的に導入しています。
今後は、発災前から復旧・復興期に至るまで、SNSやAIチャットボットなどのデジタル技術を活用した避難者からの情報収集や、避難者への情報提供・支援の取組をさらに進めます。
具体的には、AIを活用することで、「火事が起きている」、「怪我人が何人いる」、「防寒着が欲しい」といった情報を、24時間いつでも迅速に収集することが可能となり、被害状況等を迅速かつ容易に「見える化」することができます。
また、これらの情報を基に、適切な対応を指示したり、必要とされる物資を届けるなど、被災地のニーズに即応することができます。
こうした効果が見込めるため、本県では、このようなAI防災により、DX/デジタルトランスフォーメーションに関する先行実証モデルを実施していきたいと考えています。
この取組については、先般、平井デジタル改革担当大臣や小此木防災担当大臣、河野行政改革担当大臣に対して、理解と協力を求め、受け止めていただいたところであります。
今後とも、国や市町村と連携しながら、本県が取り組むDXの先駆けとして、AI防災に積極的に取り組んでまいります。

2)県立病院における災害対策について

 

亀井質問

災害発生時に診療機能を維持するためには、災害発生に備えた機能を、ハード・ソフトの両面から充実強化する必要がある。
まず、ハード面だが、災害拠点病院である県立足柄上病院は、洪水浸水想定域内に立地し、浸水時に支障がないのか懸念がある。また、施設が狭隘化し、患者をトリアージするスペースも十分ではない。
次に、ソフト面だが、BCPが足柄上病院と精神医療センター以外では、まだ策定されていない状況にあるが、自然災害に加え、コロナに対応したBCPについても策定していくことが重要と考える。
そこで、災害時における診療機能を維持するため、災害拠点病院である県立足柄上病院の浸水対策をどのように講じていくのか、また、県立病院の診療業務継続に向けて、BCP策定にどう取り組むのか、特に新型コロナウイルスに対応する重点医療機関としてどのように整備していくのか、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、県立病院における災害対策についてお尋ねがありました。
県立病院は、本県の医療救護活動の拠点として、災害時においても診療機能を維持し、多数の負傷者に対し、迅速に救護活動を行う役割を担っています。
このため、日頃からライフラインや情報システムの整備、医薬品、燃料等の備蓄を進めるとともに、訓練を通じて災害時の対応力を強化しています。
しかしながら、災害拠点病院である足柄上病院は、敷地の一部が、洪水ハザードマップで、最大3メートルの浸水区域に位置しているため、浸水により、非常用発電設備が稼働しない恐れや、施設の老朽化、狭隘化が進んでいるという課題があります。
そこで、県立病院機構では、今後、老朽化した施設の計画的な修繕・整備に向けた調査を行い、非常用発電設備の上層階への設置のほか、災害発生時にトリアージや患者の収容を行えるスペースの確保について検討していくこととしています。
 また、災害時には、診療業務を維持・継続するための体制整備が重要となることから、県は、県立病院機構の全ての病院に、業務継続計画、いわゆるBCPを策定するよう、第三期中期目標において指示していますが、ここ数年、自然災害が頻発していることから、今年度中の策定を求めていきます。
さらに、自然災害と同様、新型コロナウイルス感染症についても、感染拡大時における院内感染防止対策、ゾーニング計画など、診療を維持していくための体制整備が重要です。
特に、重点医療機関である足柄上病院、循環器呼吸器病センター、精神医療センターの3病院では、これまでの新型コロナの診療経験を踏まえたBCPの策定が求められます。
そこで、この3病院については、新型コロナのBCPを今年度中に策定するよう病院機構に要請し、各病院の速やかな策定につなげていきます。
県は、県立病院が、激甚化する風水害、さらには新型コロナウイルス感染症など、未曽有の危機においても県民のいのちを守る拠点として、役割を果たせるよう、引き続き県立病院の災害対策を支援してまいります。
 

要望

まずは県立病院における、災害対策についてです。
ハード整備として、足柄上病院の地下にある電気施設に関しては、やはり、災害拠点病院なので、災害時に使用できなくなったのでは話にならないので、早急にやっていただかなければいけないと思います。
また、BCPに関して、新型コロナに対するBCPも、しっかりと、いつまでに策定いただけるとお話いただけたので、ぜひこれも進めていただきたいと思います。

3)製造業の活性化について

 

亀井質問

事業の収益構造を表すスマイルカーブが示すように、事業の中間工程にある生産・組立は、新興国の追い上げなどにより、付加価値を出しづらくなっている。そうしたことから、上流工程の企画・開発や下流工程の販売・サービスといった付加価値の高い部分を強化すべき、といった指摘がされている。
とりわけ、販売、サービスは、より顧客に近く、その強化は、顧客本位の新たな事業展開につながるものと期待される。
AIやIoTが導入され、デジタルデータの利活用が可能となる中、製造業がより高い付加価値を生み出していくためには、製品の販売後のメンテナンスをデータ収集等により高度化・最適化することなど「製造業のサービス化」を進めていくべきと考える。
そこで、県内の製造業のサービス化による県内製造業の活性化に向け、県として支援すべきと考えるが、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、製造業の活性化についてお尋ねがありました。
本県の製造業は、県内総生産の約2割を占めており、また、従業者1人当たりの付加価値額も大きく、県経済において、重要な役割を果たしています。
こうしたことから、県内経済の成長には、製造業が、その競争力を、さらに強化していくことが必要です。
1980年代までの製造業は、ハードウェアを作り、それを売ることで利益を得るビジネスモデルが中心でした。
90年代になると、ソフトウェアを開発した企業が大きな利益を得るようになり、現在では、IT技術の発達に伴い、商品・サービスの利用データを活用して事業を展開した企業が、莫大な収益をあげています。
今年7月、EVを製造するアメリカのテスラの株式時価総額が、トヨタを超えたという報道がありました。
テスラは、車を販売して終わるのではなく、販売した車から走行データを蓄積し、開発に活かすとともに、搭載したソフトウエアを更新することで、車の性能向上を図っています。
また、トラブル発生時に、オペレータが最適なアドバイスを行う、リモート診断などを行っています。
このように、製造業が更に成長していくためには、IT技術を活かし、現場から収集したデータを活用して、顧客のニーズにマッチしたサービスを提供する、「製造業のサービス化」が重要です。
そこで、今後、例えば、機器の稼働状況をデータから分析して、不具合が生じる前にメンテナンスを行うサービスなど、県内企業が、IT技術を活用して、「製造業のサービス化」を図るプロジェクトを募集し、その開発を支援したいと考えています。
こうしたことにより、製造業のさらなる成長を促し、県内経済の活性化を図ってまいります。

4)県内農水産業の振興について

 

亀井質問

国は、ICTなどを活用し、農作業の省力化や生産物の高品質化を実現する「スマート農業」、漁業活動や漁場環境の情報収集等を行う「スマート水産業」を推進しており、本県でも、スマート農業の推進及びスマート水産業による成長産業化を目指すことは重要である。その際、取組の強化に合わせて現在の「農政部」に「水産」を入れるなど体制整備を行うことで、本県水産業の成長産業化をアピールできるのではないかと考える。
このように、「スマート農業・水産業」の推進により、生産現場が抱えている担い手不足や生産性の向上などの課題を解決し、持続的に発展できるよう、農業・水産業の構造改革を進めていくべきと考える。
そこで、県内経済や地域の活性化に向け、社会環境の変化やウィズコロナ時代にも対応した県内農水産業の振興を図るため、県として、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 

知事答弁

県内農水産業の振興についてお尋ねがありました。
都市近郊で農水産業を営む本県は、大消費地に近いという強みを生かして新鮮な農水産物を供給しており、それが地域の活性化につながっています。
現在県では、農水産業振興の課題となっている、担い手の減少や高齢化に対応するため、ICTやロボット技術等を積極的に活用して、作業の省力化や負担軽減を図っています。
例えば、農業では、ドローンの撮影画像から農作物の生育状況を見るセンシングや、ICTによる複数の温室の環境自動制御の技術開発を進めています。
また、水産業では、水中ドローンで定置網の破損状況や、沿岸の魚類・海藻類の調査を行っています。
今後、農水産業の基盤を強化し、自然災害やウィズコロナ時代にも対応していくためには、農業と水産業のスマート化を強力に推進し、生産力の向上を図る必要があります。
そこで県では、新たに「かながわスマート農業・水産業推進プログラム」を策定し、目指す将来像や目標を定めてロードマップを示し、生産現場への技術導入を進めます。
このプログラムに基づき、農業では、ナシの収穫ロボット等の実用化を加速させるとともに、水産業では、現在検討中の「相模湾での大規模外洋養殖事業」でもスマート化を図ります。
具体には、ICTとAI技術を組み合わせた魚の遠隔監視システムや餌の自動供給システム等を整備し、経験者の勘に頼ることなく生産量を安定的に確保できる養殖業を拡大し、水産業の構造転換を目指します。
さらに、これらの実現の道筋が立った際には、県の組織名称の見直しを含め、本県水産業の成長産業化をアピールできるような手法について検討していきたいと考えています。
県としては、社会環境の変化やウィズコロナ時代にも対応できるよう、スマート化の推進により農水産業の振興を図り、県内産業の活性化につなげてまいります。
 

再質問

県内農水産業の振興について、知事からは「かながわスマート農業・水産業推進プログラム」を策定するとの答弁をいただいた。このプログラムの策定があり、それとともに行動することによって、知事の答弁のとおり県の組織体制の変更にもつながると考えられるので、策定の時期がいつになるのか確認したい。
 

再質問回答

「かながわスマート農業・水産業推進プログラム」については、生産者や生産者団体など関係の皆様や県議会からご意見をいただいた上で、来年度末までには策定したいと考えております。
 

要望

三浦半島では水産業の衰退を実感しており、農政部の名称を農水産部とすることでも、水産業に対しての一つのアピールになると考えるので、前向きに検討いただきたい。

5)県の人権施策の方針について

 

亀井質問

本県では、「かながわ人権施策推進指針」を策定し、人権施策の取組を進めている。しかし、昨今、性的マイノリティへの差別、インターネット上での誹謗中傷、新型コロナウイルス感染症に起因する患者や医療従事者への偏見、差別といった新たな人権課題が発生している。
近年の社会状況の大きな変化を鑑みると、新たな人権課題に対する県の姿勢を明確にし、指針は見直しの時期に来ていると考える。
また、様々な人権問題については、県民がどこで相談できるのかと案内をわかりやすく示すなどの取組を進めることも必要だと考える。
さらに、条例の制定を視野に入れた検討も必要である。
そこで、新たな人権課題が大きな社会問題となっている中、県は、偏見や差別をなくすという人権尊重の理念を実現していくために、今後、どのような姿勢で臨むのか、しっかりと示し、実効性のある取組を進めるべきだと考えるが、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、県の人権施策の方針についてお尋ねがありました。
人権は、すべての人が生まれながらに持っている権利であり、互いの人権を認め合い、偏見や差別がない社会づくりが重要です。
県では、「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及や、「かながわ人権施策推進指針」に基づき、人権課題の解消に、全庁をあげて取り組んでいます。
しかしながら、近年、インターネット上の誹謗中傷、性的マイノリティへの偏見や差別、コロナ禍における医療従事者等への差別といった様々な形の人権侵害が発生しています。
このため県では、ホームページやSNSを活用して、「人権の大切さ」の普及啓発を強化するほか、インターネットの誹謗中傷に苦しんでいる方の救済・支援のため、弁護士相談を今年度中に開設するなど、実効性のある取組を進めています。
今後、さらに、具体的な取組を進めるにあたっては、現在の人権をめぐる様々な状況を踏まえて、県の姿勢を明確に示す必要があります。
そこで、「かながわ人権施策推進指針」の令和3年度中の改定を目指して、かながわ人権政策推進懇話会をはじめ、議会や県民の皆様のご意見を伺いながら、改定作業を進めていきます。
改定にあたっては、社会状況の変化に合わせた内容の見直しや、性的マイノリティやコロナ禍における差別といった新たな人権課題についても明確に指針に位置付け、対応方針を打ち出します。
また、県民が相談や支援に関する情報を速やかに得られるよう、指針に基づく県の取組の周知とあわせて、国や県、市町村等の相談窓口の広報にも取り組んでいきます。
さらに、目まぐるしい社会情勢の変化に対応しつつ、先々に生じるであろう課題も見据えて、既に条例を制定している自治体の状況や、国の動向を注視し、有識者等の意見を伺いながら、条例の検討に取り組んでいきます。
県では、人権がすべての人に保障され、互いに尊重し合う「ともに生きる社会かながわ」の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 

要望

県の人権施策に関しては、知事から人権の条例の策定検討というところまできました。神奈川県としての姿勢というか、立ち位置というか、それをこれからしっかりと表明していく時期かなと、そのように思います。
色々な人権侵害が横行する中で、神奈川県はこうなんだということをやはりアピールすることが大事ではないかと思います。
例えば三重県のLGBTの、アウティングの条例、これは皆さんご存じのとおり、LGBTの方に対して、他の方がアウティングをするということに関しては、故意とか故意じゃなくても駄目なんだよということは、この条例、罰則はないんだけども、今、全国区になって、やはりこういうことを改めていかなければいけないなという、ある意味での実効性があるんですね。ですから、そういうことも踏まえて、条例の策定ということを検討していただきたいなと、そのように思います。

6)指定管理施設のサービスの向上について

 

亀井質問

指定管理施設について、利用者や近隣住民の方から、「どこに要望を伝えればいいのか分からない」という声を聞く。指定管理者は県から施設の管理運営を任されている立場であり、施設のサービスの向上のために、利用者や近隣住民の方々の要望を施設の管理運営に活かしていくのは、設置者である県の責務であると考える。
県は、指定管理者が取り組んできた成果や、これに対する県の評価を県のホームページで公表していることは承知している。
しかし、県は、より一層、施設の利用者や近隣住民の方々が、県の取組を身近な情報として受け取ることができるように努め、施設の改善への要望などが活発に起こるような環境を整備するべきと考える。
そこで、県は、指定管理施設のサービスの向上を図るために、県のマネジメントを県民の身近な情報として提供できるよう、どのような見える化の工夫を行っていくのか、所見を伺いたい。
 

知事答弁

最後に、指定管理施設のサービスの向上についてお尋ねがありました。
指定管理者制度は、公の施設における住民サービスの向上と経費の節減を目的とした制度であり、指定管理業務を請け負った事業者は、施設の管理者として、民間のノウハウを活用して、効果的・効率的に施設の管理運営を行う役割を担っています。
一方、県は、施設の設置者として、指定管理者制度の目的に沿った適正な管理運営が行われているかをマネジメントする役割を担っています。
具体的には、県は、指定管理者が行う「利用者の満足度調査結果の評価や分析」、「苦情・要望、事故・不祥事への対応状況の確認」といったモニタリングを行うとともに、指定管理者に必要な指導を行っています。
そして、モニタリングの結果は、県のホームページで公表し「見える化」も図っています。
また、施設内には、指定管理者だけでなく県の連絡先も併せて表示し、利用者や住民の方々から頂いたご意見については、指定管理者と情報共有し、施設運営の改善に活かしています。
このように、県では、マネジメントの状況を「見える化」し、利用者等の声を活かした施設運営にも努めていますが、一方で、多くの方々は、施設に関する情報を収集する際、県のホームページよりも、当該施設の指定管理者が作成しているホームページを閲覧している状況があります。
指定管理施設のサービス向上に向けては、さらに多くの皆様に県の取組を知っていただく一層の工夫が必要であり、頂いた声を施設運営に反映していくことが重要です。
そこで、今後は、モニタリングの結果など、県のマネジメントに係る情報を、県のホームページだけでなく、施設のホームページからも直接閲覧できるよう、速やかに指定管理者に働きかけてまいります。
このように、県のマネジメントに係る情報を一層「見える化」し、多くのご意見、ご要望が県に届きやすくすることにより、施設のサービスが向上するよう、しっかりと取り組んでまいります。
私からの答弁は以上です。

7)公立小・中学校におけるいじめ防止について

 

亀井質問

いじめの未然防止に関しては、いじめをする子どもだけでなく、「傍観者」と呼ばれる、周りにいる子どもに焦点を当てた学習がある。
それはフィンランドのいじめ対策プログラム、「KiVa」である。
この「KiVa」プログラムは、「傍観者」が、いじめを受けている子どもを守る態度を示すことで、いじめる側が力をもたなくなることを学ぶといった取組である。
県教育委員会では、いじめの未然防止について様々な取組を行っていることは承知しているが、加えて、「傍観者」に、より焦点を当てた取組を進めてもらいたいと考える。
そこで、公立小・中学校におけるいじめ防止対策の一環として、いじめの「傍観者」に焦点を当てた取組について、所見を伺いたい。
 

教育長答弁

教育関係について、お答えします。
公立小・中学校におけるいじめ防止についてです。
いじめは、すべての児童・生徒に関係する問題です。いじめを行わないことはもちろん、いじめと分かりながら何もしない「傍観者」とならないためには、児童・生徒の誰もが、いじめは決して許されない行為であることを十分に理解することが必要です。
こうした考え方を、県教育委員会では、平成30年度に作成した「児童・生徒指導ハンドブック」に盛り込み、市町村教育委員会と連携し、教員研修等を通じて周知してきました。
また、児童・生徒がいじめについて、自分の事として考え、対話や議論を行う「いのちの授業」を、各学校で推進しています。
しかし、依然として、いじめに悩む多くの児童・生徒がいます。私としては、これまでの取組に加え、議員お話の、「傍観者」に焦点をあてた「KiVa」プログラムなどの考え方を取り入れ、更にいじめ防止対策を強化していくことが必要と認識しています。
そこで、「傍観者」にならないために、いじめかもしれない場面でどのように行動すればよいのか、具体的な場面を想定し、児童・生徒が話し合う活動等の取組例をまとめた、教員用の指導リーフレットを今年度中に作成します。
そして、このリーフレットを、全県指導主事会議等の場で周知するとともに、小・中学校の児童・生徒指導を担当する教員向けの研修等で活用するなど、より一層、いじめ防止対策の推進に取り組んでまいります。

8)中学校夜間学級の設置について

 

亀井質問

「夜間中学」は、不登校等により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方などにとって、義務教育相当の教育機会が提供される重要な場である。また、外国籍の方にも、貴重な学びの場になる。
そうした中、相模原市議会において、市の教育長が、県教育委員会と連携し、他市町村からも生徒を受け入れる広域的な「夜間中学」として、令和4年4月の設置をめざしていきたいとの考えを表明した。
県教育委員会としても、相模原市の「夜間中学」開設に向けて、「広域的な仕組み」を関係の市町村教育委員会と具体化していくこと、県立高校施設の活用等について取組を進めていくことが必要である。
そこで、相模原市の動きも踏まえ、今後、県教育委員会として、相模原市の「夜間中学」の設置に向けて、「広域的な仕組みづくり」や県立高校施設の活用を含め、具体的にどのように進めていくのか、所見を伺いたい。
 

教育長答弁

次に、中学校夜間学級の設置についてです。
中学校夜間学級、いわゆる「夜間中学」は、不登校や引きこもり、外国籍の子どもなど、多様な生徒がともに学び、成長していく場として、その設置が望まれています。
これまで県教育委員会では、相模原市教育委員会等と「夜間中学」の設置の時期や場所、さらに県立高校の施設の活用や、他の市町村から生徒を受け入れる広域的な仕組みづくりについて、検討・協議を重ねてきました。
こうした中、去る11月27日に、相模原市議会において、市の教育長から、「夜間中学」について令和4年4月の開設をめざしていくこと、また、市域外からも生徒を受け入れる広域的な仕組みとなるよう、引き続き県教育委員会と調整していく、との考えが明らかにされました。
県教育委員会としては、こうした市教育委員会の意向を十分に踏まえ、令和4年4月の県内三か所めの「夜間中学」の開設に向けて、関係市町村教育委員会と広域的な仕組みづくりに伴う、教員配置や費用負担など具体的な検討・調整を進めてまいります。
また、設置場所については、市域外からも生徒が通いやすい、市南部の相模大野地区が望ましいと考えています。
しかし、同地区の中学校には、現時点で「夜間中学」として活用できる施設が見い出せないのが実情です。
こうしたことを考慮し、県教育委員会では、当分の間、小田急線相模大野駅から徒歩圏内にある、県立神奈川総合産業高等学校の施設の一部を、相模原市立の「夜間中学」として活用できるよう検討してまいります。
以上でございます。
 

要望

教育長から神奈川総合産業高等学校の施設の一部を夜間中学として活用する、と学校名まで言っていただきました。
この学校というのは、私の記憶が確かならば、定時制のある学校です。
この定時制のある学校ですから、定時制の生徒と、夜間中学に通う生徒が、お互いに切磋琢磨し、交流して、相乗効果を生み、お互いにWin-Winの形でしっかりと学習できれば、これは全国に範を示すような夜間中学になる、と確信しておりますので、夜間中学の設置についてしっかりと検討していただくことを要望しまして、質問を終わりにします。ありがとうございました。

9)県警察における障害者活躍推進への取組について

 

亀井質問

本県では、知事部局、教育委員会及び警察本部の各任命権者が、令和2年3月までに、厚生労働省が作成した「障害者活躍推進計画作成指針」に即して、「障がい者活躍推進計画」を策定した。
この計画においては、達成すべき数値目標としての障害者雇用率のほか、障害者である職員の活躍を推進するための体制整備等、今後取り組むべき、様々な施策が定められているものと承知しており、任命権者ごとに、障害者がその能力を発揮し、生き生きと活躍できる取組が計画的に進められるものと期待をしている。
10月1日現在で見ると、県警察の障害者雇用率は法定雇用率である2.5%を上回ったと地元紙からの報道があった。
そこで、障害者の計画的な雇用に向けて、県警察ではこれまでどのように取り組んできたのか、また、障害者の活躍推進に向けて、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 

警察本部長答弁

県警察における障害者活躍推進への取組についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、障害者雇用率の算定に当たり、障害者の計上に誤りがあったことが平成30年に全国的に判明したところですが、県警察においても、対象外とされる警察官を算入していたことが判明し、再点検の結果、平成29年の障害者雇用率は法定数値を下回っていたことが明らかとなりました。
県警察においては、こうした誤りの判明後、いわゆる「障害者雇用促進法」の一部改正に基づき、令和2年3月31日付けで、「神奈川県警察障がい者活躍推進計画」を策定いたしました。
同計画においては、今後、令和7年3月31日までに、県警察における障害者の雇用率を3パーセントまで引き上げるとの数値目標を掲げ、障害者の計画的な雇用を進めることとしております。
また、本年4月1日付けで、障害者である職員の採用、人事等の取組を専門的に行う、「障害者活躍推進係」を警察本部警務課に新たに設置するなど、体制の整備を図りました。
さらに、本年10月1日付けで、警察本部内に全国警察2例目となる「神奈川県警察チャレンジオフィス」を開設し、新たに3人の障害者を雇用し、民間企業等への正規就労を目指す取組を開始したところであります。
その結果、本年10月1日時点の県警察における障害者雇用率は、法定の2.5パーセントを上回る2.54パーセントとなったところであります。
障害者である職員を含め、全ての職員ひとりひとりが、ともに多様性を理解・尊重し合い、生き生きと働くことができる職場づくりは極めて重要であります。
県警察としては、今後とも、障害者の計画的な雇用に取り組むとともに、「チャレンジオフィス」の効果的な運営に努め、一人でも多くの障害者が働きがいをもって就労できるよう取り組んでまいります。
また、障害者である職員やその上司・同僚に対して定期的なヒアリングを行い、要望・意見等を聴取して、必要な資機材の購入等による職場環境改善など働きやすい環境の整備にも努め、障害者の職場への定着や、離職を防ぐための取組にも力を入れてまいります。
以上でございます。

◉令和元年 第3回 定例会 代表質問

1)災害廃棄物への対応について

 

亀井質問

今回の台風第19号で被災者が一日も早く元の暮らしに戻るために、行政として、はじめに対応すべきことは、泥水に浸かった家具や家電製品などの災害廃棄物の処理である。
仮置場に山積みにされ、また、自宅前や道路に置かれた災害廃棄物の処理が進まず、長期間放置されると、被災者をはじめ、住民の日常生活に大きな支障を来すこととなる。災害廃棄物は、一般廃棄物として市町村が処理すべきものであるが、一つの市町村で処理できる量には限界があることから、広域的な処理を進めていく必要がある。
そこで、今回の台風第19号によって生じた災害廃棄物の処理について、様々な問題が生じているが、県として、どのような課題があると認識しているのか、また、その円滑な処理に向けて、広域自治体である県として、今後、どのように市町村を支援していくのか、知事の所見を伺いたい。
 

知事答弁

亀井議員の御質問に順次お答えします。はじめに、災害廃棄物への対応についてお尋ねがありました。
まず、今回の台風被害によって生じた災害廃棄物処理問題に対する課題認識についてです。
今回の台風では、全国9万棟の住宅が損壊や浸水等の被害を受け、大量の災害廃棄物が発生しました。
被災自治体では、懸命に処理を進めていますが、大量の災害廃棄物が仮置き場や道路際に分別されずに山積みされているため、その処理に手間と時間を要し、対応に苦慮していると承知しています。
こうしたことから、災害廃棄物の処理に当たっては、仮置き場の確保や分別指導など、初動体制の整備が課題であると認識しています。
 
次に、市町村に対する今後の支援についてです。平成29年策定の「県/災害廃棄物処理計画」では、災害廃棄物処理の技術的支援や、広域的な処理体制の整備を県の役割とし、今回の台風被害においても、この計画に沿って被災自治体を支援しました。
具体的には、直ちに職員を派遣して、仮置き場での分別などの技術的助言を行うとともに、県内各地に処理施設を有する事業者で構成する「県産業資源循環協会」に広域処理の支援を要請しました。
今回の台風では、本県の災害廃棄物の処理は比較的円滑に進みましたが、より大規模な災害への対応については、具体的なシミュレーションが必要と考えています。
そこで県では、今回の台風の事例をもとに、現行の市町村支援スキームが機能するかを改めて検証し、その結果を県計画やマニュアルに盛り込みます。
また、県内全ての市町村において、発災時の初動対応が円滑に進むよう、国の基本方針で市町村も策定することとされている「災害廃棄物処理計画」について、未策定の15市町への働きかけを強めます。
県では、被災者に寄り添った、災害廃棄物の迅速かつ円滑な処理に向けて、国や民間事業者団体とも連携し、しっかりと市町村を支援してまいります。

2)SDGs金融の取組について

 

亀井質問

国は、「拡大版アクションプラン2019」において、企業等の経営へのSDGsの取り込みを推進することとしており、内閣府では、SDGs金融を通じた地域の好循環形成を進めているものと承知している。
このSDGs金融は、わが会派が指摘してきた「企業が将来にわたって継続・発展していくためには、長期的な視点で社会のニーズを重視した経営が必要」ということに通ずるものがある。
地域課題の解決に向けた取組を進め、地域経済を活性化させるためには、中小企業等によるSDGsの取組が欠かせない。SDGs達成に向けた取組を金融面で支援することで、SDGsを実際の事業に結びつける本県の企業、特に中小企業が増えると考える。
そこで、中小企業等におけるSDGs達成に向けた取組を支援するため、本県として積極的にSDGs金融に取り組んでいく必要があると考えるが、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、SDGs金融の取組についてお尋ねがありました。SDGsを地域に浸透させ、地域の活性化につなげるには、より多くの中小企業がSDGsに積極的に取り組んでいただくことが必要であり、そのためには、金融面からの支援が重要となります。
そこで、県では、まず、中小企業にSDGsを知っていただくため、神奈川県中小企業団体中央会の協力を得て、「SDGsガイドブック」を作成したり、商工団体等と連携してセミナーを開催するなど、普及活動に力を注いできました。
こうした中、SDGsをビジネスチャンスと捉え、積極的に取り組む企業も出てきています。県は、こうした企業を「かながわSDGsパートナー」として登録するとともに、制度融資に「SDGsパートナー支援融資」を設け、金融面から支援しています。
さらに、金融面からの支援を強化するため、県がコーディネーターとなり、パートナー企業と県内金融機関、大手銀行等の金融機関が連携する枠組みとして、「かながわSDGs金融フレームワーク」を構築していきます。
 そして、県では、パートナー企業によるSDGsの取組に対する資金の流れを促進するため、今月の未病サミットにおいて発表した未病指標の活用や、取組の社会的な効果を「インパクト」として客観的に評価する仕組みづくりなどに取り組んでいきます。
また、民間でも、社会的課題の解決に挑む事業への資金提供の動きが活発化しています。例えば、横浜銀行では、「子育て・介護・新しい働き方」といったSDGsにつながる事業への投資を行うインパクト・ファンドに出資を行っています。
今後、「かながわSDGs金融フレームワーク」を基盤に、民間資金によるファンド、ローン、ソーシャル・インパクト・ボンドなど、多様なSDGs金融を積極的に呼び込み、中小企業のSDGsの取組を金融面から支援してまいります。

3)県立病院機構の第三期中期目標について

 

亀井質問

県立病院機構の第三期中期目標期間は、超高齢化の進行により社会の構造が大きく変化していく中で、極めて重要な時期に当たっている。
県立病院は、これまで、足柄上地域における総合的な医療のほか、小児科、精神科、がん、循環器呼吸器を専門とする病院が、高度専門医療を提供してきているが、個々人のライフステージや合併症などの複合疾患に対して、切れ目なく総合的に対応していく医療への転換が次期中期目標において最も問われる点と考える。総合病院はさらなる地域のニーズへの対応を図り、専門病院は総合病院の機能も合わせもたせていく、このような新しい姿をつくり上げ、県立病院全体として、変化する医療ニーズにも対応してほしい。
そこで、次期中期目標期間では、県立病院としてどのようなことに取り組むのか、また、さらに中・長期的な視点として、県立病院の役割や機能について、県はどのように考えているのか、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、県立病院機構の第三期中期目標について、お尋ねがありました。
病院機構の5病院では、県民の皆様に対して、質の高い地域医療や専門医療を提供してきました。
高齢化の進展により、複数の疾患を抱える患者が増加する中、県立病院には、より高度な専門医療の提供とともに、患者一人ひとりをトータルに診る総合的な医療への対応も必要になっています。
そこで、第三期中期目標では、今後5年間で、各病院の機能強化と、中長期的な観点からの役割やあり方について検討するよう、病院機構に指示していきます。
具体的には、足柄上病院では、地域包括ケアシステムの推進を支援するため、「地域医療支援病院」の承認を目指すほか、高齢者医療の症例を数多く保有する特長を活かした臨床研究に取り組みます。
こども医療センターでは、県内のアレルギー疾患の医療の拠点として、アレルギーセンターを運営するほか、「成人移行期外来」を設置し、成長に伴い変化する患者ニーズに対応していきます。
がんセンターでは、県内がん医療の拠点として、専門医療の提供にとどまらず、高度な医療技術の開発や、人材育成も担う「特定機能病院」の承認を目指します。
また、中長期的には、県立病院は、ライフステージごとに異なる患者ニーズや、複合的な疾患にも的確に対応できる、総合的な機能をあわせ持つことが重要となります。
そこで、県と病院機構では、有識者から意見を伺い、病院が保有する診療データなどの分析を通じて、総合病院的機能の強化など、県立病院の将来のあり方について検討を進めていきます。
県は、県立病院が将来にわたり、時代の変化に的確に対応し、患者一人ひとりに寄り添った医療を提供できるよう、病院機構とともにしっかりと取り組んでまいります。
 
 

4)救急電話相談「#7119」について

 

亀井質問

横浜市のみに限定されている救急電話相談「#7119」を、県が主導して全県に拡大し展開するよう、わが会派は平成28年度の本会議で質問に取り上げて以降、継続して県に提言・要望を行ってきた。
全県化に向けては、県や市町村の新たな財政負担や、既に市町村が実施している医療機関案内との整理などが課題となっているとともに、同じ電話番号で、全県でサービスを実施することに対する電話の接続などの技術的な課題もあると伺っているが、こうした課題を解決して一日も早く全県拡大を実現すべきである。
また、早期の全県拡大に向けては、発想を転換して別の分かりやすいシャープダイヤルを設定するという方法もあるのではないか。
そこで、体調の急変時などに気軽に相談できる「救急電話相談」の全県での展開に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか。目標とする時期や、別の番号での展開なども含めて、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、救急電話相談「#7119」について、お尋ねがありました。
救急電話相談については、昨年開催した県と政令市の四首長懇談会において、現在横浜市が行っているダイヤル「#7119」を、県がコーディネート役となって広域化していくことで合意がなされました。
県ではこれを受け、全市町村に呼び掛けを行うとともに、広域化の手法や費用負担のあり方等について、横浜市等と検討を重ねてきたところです。
そうした中で、市町村には事業の有効性は理解いただいているものの、既に独自に健康や育児等に関する総合的な電話相談を実施している場合も多く、救急電話相談だけを切り分けて#7119に加わることは、費用面からも難しいという声もいただいています。 
また、横浜市でも、市内に設置しているコールセンターの機能の拡大をはじめ、場所や人員の確保など、広域化には当初の想定を超える対応が必要であることが明らかになりました。
こうした課題について、粘り強く市町村と調整をしていますが、早期の解決が難しい課題もありますので、横浜市の#7119の広域化と並行して、別の方法も検討していきます。
例えば、全国規模で電話相談業務などのノウハウを有する民間企業を活用し、横浜市の#7119と連携しつつ、県が新たなダイヤル番号を設定して、広域化を進めることも、ひとつの方法として考えられます。
引き続き、より良い方法を検討しながら課題を解決し、条件の整った市町村に参加いただくなど、令和3年度からの段階的な広域化を目指してまいります。
一方、ICTなどの技術革新が急速に進む中で、スマートフォンのアプリや、人工知能・AIによる救急対応のアドバイスなど、相談に関する様々なサービスの開発が進んでいますので、こうした新たなテクノロジーの活用についても、検討を進めていきます。
県民の皆様が安心できる救急相談体制の構築に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

5)ギャンブル等依存症対策について

 

亀井質問

わが会派では、かねてより依存症対策にしっかり取り組むべきと主張してきたところであるが、昨年10月に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」では、「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定が努力義務化されたほか、依存症と関連のある社会問題にかかる施策との有機的な連携や、アルコールや薬物等の依存症対策との連携強化の必要性が示された。
今後、さらに関係機関と連携を強化し、対策を体系的に充実強化して進めていくためには、県計画を策定し、その計画に基づき、着実に取組を進めていくことが必要であると考える。
そこで、今後、本県として、「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定をはじめ、依存症対策の充実強化に向けて、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 

知事答弁

次に、ギャンブル等依存症対策について、お尋ねがありました。
ギャンブル等依存症は、ギャンブル行為にのめり込むことで、本人だけでなく、ご家族の生活にも支障を生じさせ、多重債務や貧困、自殺等、様々な社会問題を引き起こす可能性もある病気です。
そのため、ギャンブル等依存症に対しては、相談、治療、社会復帰など、それぞれの場面に応じた支援を行う必要があります。
県では、これまで、ギャンブルを含む依存症対策について、「相談拠点機関」や「専門医療機関」を選定するなど、体制整備を行うとともに、「かながわ依存症ポータルサイト」を開設して普及啓発にも取り組んできました。
 一方で、本人やご家族の中には、依存症であることを認めず、相談や治療を受けない方もいることから、県としては、こうした方にも適切な支援を提供する体制を作っていく必要があると考えています。
こうした中、昨年施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」は、都道府県に対し、「ギャンブル等依存症対策推進計画」の策定を努力義務としました。
このため、県では、令和2年度中に「推進計画」を策定し、ギャンブル等依存症対策の一層の充実に取り組んでいきます。
依存症は、病気の治療だけでなく、多重債務や貧困などの社会問題への対策も必要であり、また、支援が必要な方に確実に支援を届けるためにも、様々な機関が、しっかりと連携して取り組む必要があります。
そこで、県庁内の関係部署による協議の場を設置するとともに、医療や教育関係者、事業者、外部有識者などによる協議会を1月に立ち上げ、実態調査を実施し、現状や課題の把握を行った上で、今後の具体的な対策を検討していきます。
このように、行政、関係団体、事業者などが連携して推進計画を策定し、依存症対策にしっかりと取り組んでまいります。

6)県営住宅の入居資格要件の緩和について

 

亀井質問

県営住宅は、住宅困窮者のためのセーフティネットとなっているが、最近の入居者募集の状況は、応募倍率は年々下がり、応募者数も減少していることに加え、県営住宅の老朽化が著しいことや、エレベーター未設置の団地が多いことなどから、抽選に当選された方の辞退も多く、空き家が急増し、家賃収入が減少していると聞いている。
老朽化した住宅については、順次、建替えを進めることが大変重要と考えるが、ハード整備には長い期間を要することから、募集しても応募がないような住宅については、60歳未満の単身者にも入居を認めることや、県内居住要件を外すことなど、入居者資格要件の緩和を検討する必要があるのではないか。
そこで、県営住宅の入居者資格要件の緩和について、どのように考えているのか、所見を伺いたい。
 

知事答弁

最後に、県営住宅の入居者資格要件の緩和についてお尋ねがありました。
公営住宅法では、入居者資格要件として、収入要件、住宅困窮要件を規定しており、その他の要件については、各自治体が地域の実情に応じて定めることができます。
そこで本県では、単身者の年齢要件、県内6カ月以上という居住要件等を県営住宅条例や規則に規定しています。
しかし、近年、県営住宅への入居ニーズが大きく変化しており、最近5年間で見ますと、応募者数と応募倍率が半減している状況です。
こうした状況は、県営住宅の全戸数の半数以上が建設後50年を経過するなど、老朽化が著しいことや、住宅困窮者のニーズが多様化していることが要因と考えています。
そこで、これまで対象としていなかった住宅困窮者のニーズにも対応するため、入居者資格要件の緩和について検討が必要と考えています。
具体には、まず、単身者の年齢要件について、現在、60歳以上の方に限定していますが、低所得の非正規雇用者等の生活不安が社会問題化していることを踏まえて、60歳未満の方も申し込めるようにしたいと思います。
また、県内6カ月以上という居住要件について、介護や育児、仕事のために、他県から本県へ転居したい方も申し込めるよう、要件の廃止に向けて対応していきます。
県は、こうした対応を進めることにより、県営住宅が今後も住宅セーフティネットの役割を果たせるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 

7)SNSを活用したいじめ相談の取組について

 

亀井質問

先般公表された、「平成30年度神奈川県児童・生徒の問題行動等調査」によれば、暴力行為の発生件数、いじめの認知件数、そして不登校の児童生徒数のいずれも前年度から増加している。
そうした中、若者の多くがSNSをコミュニケーション手段としている現状等をふまえて、県教育委員会が、SNSを活用したいじめ相談を平成30年度及び令和元年度に実施してきたことは評価する。このような、始めたばかりの事業については、工夫や改善をしながら実施していくことが大切であり、こうした積み重ねによって、事業はより効果的なものになっていくと考える。
そこで、2か年にわたって実施したSNSを活用したいじめ相談の実施結果についてどのように捉えているのか、また、2か年の実施結果を踏まえて、SNSを活用した相談について今後どのように対応していく考えなのか、所見を伺いたい。
 

県教育長答弁

県教育委員会では、昨年9月に初めてSNSいじめ相談を、県内の学校から抽出した約5万8千人の生徒を対象に2週間の期間で行いました。
その際、相談があった生徒にアンケートを行ったところ、SNS相談を肯定的に捉えている回答が8割を超えたことから、今年度は8月から9月にかけて、対象を県内全ての中高生約44万人に拡大し、期間も4週間に延長して実施しました。
その結果、今年度は、昨年の183件を大きく上回る1,473件の相談があり、いじめはもとより、交友関係や部活動に関することなど様々な相談に対応してきました。
SNS相談の特徴としては、日ごろ使い慣れているLINEなどのアプリを利用して気軽にできることや、文字でのやり取りで、周囲に知られずに相談できることなどが挙げられます。
今年度もアンケートを実施したところ、「相談が役に立った」あるいは「また相談したい」という生徒が8割を超えていました。2年間の結果から、SNSによるいじめ相談は、子どもたちに支持されているものと捉えております。
また、SNSによるいじめ相談を通じて、子どもたちに「誰かに相談してよかった」という肯定的な気持ちを持ってもらえるのであれば、今後、もし、その生徒が深刻な事態に直面した時にも、「誰かに相談してみよう」という気持ちになり、例えば学校や相談機関などに繋がることが期待できます。
こうしたことから県教育委員会では、SNSによるいじめ相談は、子どもたちの様々な悩みに応えていく、多様な相談窓口の一つとして必要なものと考えており、今後、国の支援スキームの動向も注視しながら、本格実施に向けて検討してまいります。

8)県立特別支援学校における食育の推進について

 

亀井質問

子どもの食生活については、学校、家庭、地域が連携して、望ましい食習慣の形成に努める必要があり、学校においては、これまでも家庭科や保健体育などの教科等の時間や給食の時間を通じて、食に関する指導を行っていることは承知している。
特に、県立特別支援学校において「食べる」ことを学ぶことは、栄養バランスの良い食事を摂ることと併せて、食事のマナーや衛生面についても学べ、教育効果が高い。こうした特別支援学校における給食は、児童生徒が卒業後の自立と社会参加に向けて、食に関する正しい知識と健全な食習慣を身に付ける効果的な場であり、食育という観点から、今後、より一層の活用が求められていくと考える。
そこで、県教育委員会では、県立特別支援学校における食育の推進についてどのように考え、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 

県教育長答弁

障がいのある児童生徒が、将来の自立と社会参加の基盤として、望ましい食習慣を通じ、自らの健康を管理する力や食物の安全性等を判断する力などを、身に付けていくことは大変重要です。このため、特別支援学校における食育は、食生活を通じた、障がいによる生活上の困難を改善・克服するための知識や態度、習慣を育む教育活動と捉え、推進していく必要があります。
現在、県立特別支援学校では、こうした食育を進めるため、県内を6ブロックに分けて、概ね4校から5校に1名の割合で栄養教諭を配置しています。そして、この栄養教諭がブロック内の学校を巡回しながら、各学校の栄養職員と連携して、児童生徒の食育指導にあたっています。
特に、食育の「生きた教材」と言われる給食は、食育指導の効果を高めるための重要な機会であり、栄養教諭が、例えば、子ども達の身体の発達に合わせた食事指導や、郷土食などの提供による地域の文化や伝統を理解してもらう指導を行っています。こうした中、今般、改訂された学習指導要領では、栄養教諭の活用により、食に関する指導を充実していくことが明記されました。
県立特別支援学校において、障がいの程度や状況に応じて、1人ひとりきめ細かな指導を展開していくためには、給食の時間だけでなく、栄養教諭による家庭科や自立活動の時間などをより活用した食育を推進していくことが求められています。
そのため、県教育委員会では、今後、県立特別支援学校における栄養教諭の配置拡大など、新しい学習指導要領の趣旨に則った指導体制を検討し、障がいのある子ども達へのより一層の食育の充実を図ってまいります。

9)移動交番車の運用方法と交番統合後の治安対策のための機動力を生かした取組について

 

亀井質問

県警察では、交番の統合を主眼とした「神奈川県警察交番等整備基本計画」を策定し、交番が統合された後の治安対策について、パトカー等を始めとした統合エリアをカバーすることが可能な警察機能を付加するとともに、地域住民の安全・安心を高めるための効果的手法の一つとして移動交番車の活用等の研究を進めていくこととしている。
これからの警察活動には、情報発信力が高い移動交番車やパトカー等を活用し、車両の特性を最大限に発揮した手法が不可欠であり、警察側から必要な場所に出向く「アウトリーチ」な活動が重要だと考えている。
そこで、地域住民の安全・安心感を高めるために、広報力が高い移動交番車の今後の運用方法と交番統合後の治安対策のための機動力を生かした取組について、所見を伺いたい。
 

県警察本部長答弁

○移動交番車の運用方法と交番統合後の治安対策のための機動力を生かした取組について申し上げます。
○はじめに、移動交番車の運用方法ですが、移動交番車は、交番や駐在所の活動を補うものとして、県内の15警察署に15台を配備して運用しており、本年は、主に大型台風接近に伴う警戒、山岳遭難発生時の救助部隊の活動拠点、特殊詐欺対策の警戒などの活動を行っています。
○議員、ご指摘のとおり、県内の治安状況は、数値的には改善されていますものの、高齢者を狙った特殊詐欺事件や高齢者が関係する交通事故が高水準で推移するなど、予断を許さない状況であり、こうした事件事故の抑制に向けた各種活動の更なる推進が必要であると考えます。
○そこで、治安情勢を見極めながら、移動交番車を活用した積極的な情報発信や警戒活動に取り組んでまいります。
○具体的には、防犯キャンペーン等の会場に移動交番車を派遣し臨時交番として開設をし、地域住民の方々からご意見やご要望をお聴きするとともに、防犯や交通安全に関する広報啓発に努めてまいります。
○ また、通学路等における児童や生徒の見守り活動や地域住民の方々との合同パトロールなどにも移動交番車の活用を図ってまいります。
○ 次に、交番統合後の機動力を生かした取組についてです。
○県警察では、現在約470か所ある交番を今後10年間で400か所としまして、勤務員の職務執行力の向上と交番の機能強化を図ってまいりますが、この計画を進める上で重要なのは、統合に伴う地域住民の方々の不安感を解消するための取組でございます。
 ○この点に関しては、統合の対象になった地域を管轄する交番等に小型警ら車等を配備し、その効果的運用により機動力を生かした早期の現場臨場に備えるとともに、警察署パトカーと本部自動車警ら隊等との連携による重点的な警ら活動等を推進し、地域住民の方々の身近で発生する事件事故に迅速かつ柔軟に対応してまいります。
 ○引き続き、地域の安全・安心の確保にしっかりと取り組み、交番統合前と変わらぬ治安水準の維持に努めてまいります。


◉平成30年 第3回 定例会 代表質問

1)SDGsに取り組む企業への支援について

 

【亀井の質問要旨】

 SDGsの推進に向けて民間企業の役割は大きいが、特に中小企業においては、SDGsが普及しておらず、取組が進んでいない。
 SDGsに示された内容を解決することは、ビジネスにおけるイノベーション促進の可能性があり、新たなビジネスチャンスの獲得や、企業イメージの向上など経営戦略も図ることができるという意義を県内中小企業に伝える必要がある。そして、多くの中小企業にSDGsに取り組んでもらうことが、結果として経済のエンジンを回すことにつながっていくものと考える。その一方で、人的資源等が限られている中小企業において、SDGsを普及させ、取組を広げていくためには、取組へのきっかけづくりや、後押しが必要だと考える。
そこで、中小企業に対するSDGsの周知や、SDGsに取り組む中小企業の後押しをすることなどによって、中小企業におけるSDGsの取組の裾野を広げていくべきと考えるが、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

亀井議員のご質問に順次お答えしてまいります。
 はじめに、SDGsに取り組む企業への支援についてお尋ねがありました。
 SDGsの推進に当たっては、企業、特に県内の事業所数の約99%を占め、地域に根差した事業を行う中小企業において、取組が広がっていくことが大切です。
 しかし、中小企業におけるSDGsの認知度は高くなく、SDGsに関連する取組もあまり進んでいないのが現状です。 
 多くの中小企業から、SDGsに関して、「取り組むメリットが見えにくい」、「何からどう始めたらよいか分からない」などの声を伺っています。
 しかし、中小企業にSDGsの取組が広く浸透すれば、地域課題の解決や、ビジネスチャンスの拡大にもつながるものと考えています。
 そこでまずは、中小企業にSDGsの理念や取り組むメリットを知っていただくため、中小企業団体と連携してセミナーを積極的に開催するなど、普及・啓発を図っていきます。  
 また、SDGsを、いかに自社の事業に取り込むか、先行的な事例を交えて、分かりやすく解説したガイドブックを新たに作成し、周知することで、自社の強みを生かした、具体的な取組を後押ししていきたいと考えています。
 さらに、SDGsに率先して取り組んでいる中小企業等を県が認証する、仮称、「SDGsパートナー制度」を立ち上げたいと考えています。
 これにより、認証を受けた企業が、SDGsの取組を取引先や顧客にアピールし、理解、協力を得ることで、ビジネスチャンスの拡大につながることを期待しています。
 こうした取組を通じて、県内の中小企業におけるSDGsの取組を後押しし、その裾野を広げることで、神奈川の経済のエンジンを回してまいります。
 

2)RPAの導入について

 

【亀井の質問要旨】

 最近注目されている「RPA」、ロボティック・プロセス・オートメーションは、これまで人間が行ってきた定型的なデータ入力等を、「ソフトウェアロボット」により自動化するものである。民間企業では、人手不足対策や長時間労働の是正のための導入例が増えており、公共機関でも、試験的に導入を始めた自治体が見られ、県の業務にも活用できるのではないかと考える。
県では、働き方改革を推進しており、職員のワーク・ライフ・バランスを実現しながら、県民サービスの向上も図らなければならない中で、RPAで処理できるルーチン業務は、できる限りRPAを導入し、創造的な仕事を職員が行うようにすれば、県民サービスの更なる向上につながるものと考える。
そこで、RPAについて、県の業務に積極的に導入すべきであると考えるが、導入に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯次に、RPAの導入についてお尋ねがありました。
今後、生産年齢人口の減少が見込まれる中、限られた人材を有効に活用し、質の高い県民サービスを安定的に提供していくためには、県の業務の中にICTを積極的に取り入れていくことが大変重要です。そうした観点から、現在、県では「RPA」、ロボティック・プロセス・オートメーションの導入について検討を進めています。RPAは、定型的で大量な業務をパソコンで処理する際に、正確かつ迅速に、24時間いつでも処理できるというメリットがあります。
RPAの導入により効率化が図られれば、職員の能力やエネルギーを、より創造性の高い業務や、県民の皆様とコミュニケーションが必要な業務に振り向けることが可能となり、働き方改革を進める上でも大きな効果があるものと考えています。県の業務には、申請書に基づくデータ入力など、パソコンを使用して職員が手作業で行う事務処理も多いため、RPAを活用して効率化できる業務の範囲は広いと考えています。RPAの本格導入にあたっては、自動化が向いている業務を選定し、実際にソフトウェアロボットを実行させることで、どの程度の効果が生じるかを十分に見極める必要があります。
そこで、県の業務のうち、作業量の多い内部業務として、「通勤手当の認定業務」と「災害時の職員の配備計画作成業務」について、今後、民間事業者の協力を得て、RPAの実証実験を行う予定です。そして、この実証実験で得られた効果や課題をしっかりと検証し、十分な効果が見込まれる場合は、本格導入を図っていきたいと考えています。

3) ナイトタイムエコノミーについて

 

【亀井の質問要旨】

 欧米では、夜の市長「ナイトメイヤー」を設置し、夜の観光のための環境整備が進んでいる。東京でも、新宿ゴールデン街で多くの外国人観光客が夜の街を楽しんでおり、渋谷では、店舗や住民、行政等を調整する「ナイトメイヤー」設置の動きが進んでいる。そのため、折角、観戦客がラグビーワールドカップの試合等で本県を訪れても、県内観光等をせず、神奈川を素通りして東京に行ってしまうという危機感を抱いている。
県としても、入込観光客2億人を達成する一方で、観光消費額は停滞しており、夜の観光を振興することで、観光客の滞在時間が伸び、消費の拡大や地域経済の活性化にも貢献するものと期待している。
そこで、本県への一層の観光客誘致や観光消費額の増大に向けては、夜の魅力や具体的な楽しみ方の提案、いわゆる「ナイトタイムエコノミー」を推進し、その魅力を発信していくよう取組を進めていくべきであると考えるが、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯次に、ナイトタイムエコノミーについて、お尋ねがありました。
本県では、平成29年の入込観光客数が2億人を突破し、1年前倒しで観光振興計画の目標を達成するなど、観光客誘致に一定の成果が上がっている一方で、平成28年の観光消費額総額は、観光振興計画の目標である1兆3000億円に対して、約9,628億円と伸び悩んでいるのが現状です。
観光消費額を上げるためには、高い消費単価が見込める宿泊につながるよう、魅力的な夜の観光コンテンツを提供するなど、いわゆるナイトタイムエコノミーを充実させる取組が重要だと考えています。
そこで、県では、毎週水曜の夜にマグカルナイトを開催し、外国人も楽しめる大道芸などのプログラムも実施しています。また、民間事業者においても、みなとみらい周辺のホテルを発着地とした夜景観光バスツアーや、野毛地区での夜の飲み歩きをお得に楽しめる「野毛手形」が発売されるなど、ナイトタイムエコノミーの取組がすでに始まっています。
今後は、外国人をターゲットとして、和のテイストとデジタルコンテンツなどを融合させた、飲食しながらショーを楽しめる新たなナイトエンターテインメント施設の開設等についても検討していきます。
また、来る10月27日、ラグビーワールドカップ開催まで1年を切る中、強豪国であるニュージーランド、オーストラリアの伝統の一戦「ブレディスローカップ」が、横浜国際総合競技場で開催されます。
そこで、県では、関東運輸局や民間事業者等と連携して、試合後の観戦客を対象に、ワールドカップ本番に向けて、横浜市内での夜の観光コンテンツの可能性を探るためのモニターツアーなどを実施する予定です。
こういった取組の結果を踏まえ、どぶ板通りの横須賀や、セーリング競技が開催される藤沢などの市町村や商工会議所、民間事業者等と連携しながら、ナイトタイムエコノミーの取組を広く県内各地にも波及させ、経済のエンジンを回してまいります。
 

4) 介護人材の確保について

 

【亀井の質問要旨】

 本県では高齢化の進展に伴い、介護人材の必要数が増える見込みであり、一方で、労働力人口は減少し、今後、一層介護人材の確保が難しくなると考えるが、介護人材の確保には外国人の受入れも1つの方法である。報道によると、ベトナムから介護人材を受け入れるための政府間協議を行っているとのことで、県内にはベトナムからの受入れを進めている自治体もある。外国人介護人材の受入れは1例だが、介護人材の確保に向けては、更なる取組が必要な時期を迎えている。
県では、2025年に向けた人材の確保、労働環境等の改善等、介護従事者の確保に向けた様々な施策に取り組んでいると承知しているが、今後、一層不足が見込まれる介護人材の確保策について、しっかりとしたビジョンを持って、積極的に進めてもらいたい。
そこで、今後、介護人材の確保策について、どのような考えで進めていくのか、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

次に、介護人材の確保についてお尋ねがありました。
高齢化の進行とともに、労働力人口の減少も進む中、本県では、2025年度末までに2万1千人の介護人材の不足が見込まれており、その確保は喫緊の課題です。
県では、これまで、就職相談会や職場体験などの「多様な人材の確保」、介護事業者への助成を通じた職員のキャリアアップ支援などの「資質の向上」、経営者向けセミナーなどの「労働環境等の改善」を3つの柱として、介護人材の養成・確保に努めてきました。
しかし、今後不足する介護人材の確保をさらに進めるためには、「多様な人材の確保」について、より一層取り組むことが重要です。
そこで、県では、今年度から、介護分野への就労を希望する、介護未経験者を対象に、基礎的な介護の知識・技術を学んでいただいた上で、介護サービス事業所への就労支援まで行う研修を開始しました。
今後は、人生100歳時代の中、退職を控えた現役世代に対しても、活躍の場として介護分野をアピールするなど、アクティブシニアにアプローチする施策にも取り組んでいきます。
また、県では、現在、外国からの介護人材を受け入れるため、経済連携協定、いわゆるEPAにより介護福祉士/候補者を受け入れ、日本語学習や国家試験対策の支援をしている介護事業者に対して助成しています。
これにより、本県のEPAによる候補者の過去7年の介護福祉士合格率は66.1%と、全国平均の45.1%を大きく上回っています。
さらに、EPAとは別に、昨年9月から新たに、外国人留学生が介護福祉士を取得した際に「介護」の在留資格が認められるようになったことから、今後は、介護福祉士の取得を目指す留学生の受入れ環境の整備にも取り組んでいきます。
県は、市町村をはじめ、学識経験者や介護関係団体などとともに知恵を出し合い、幅広い世代への働きかけや、かながわの魅力を生かした外国人人材へのアピールなどにより、本県に必要な介護人材を確保できるよう、総力を挙げて取り組んでまいります。

5)児童虐待防止に向けた取組について

 

【亀井の質問要旨】

 増加する児童虐待に対応するために、政府が取りまとめた緊急総合対策の一つとして打ち出された「乳幼児健診未受診者、未就園児、不就学児等の緊急把握の実施」は、市町村において本年9月末までに緊急的に把握し、安全確認を行うものである。市町村は、日頃から乳幼児健診や新生児訪問等を行っており、虐待リスクの高い家庭を把握しやすい立場にあり、また、子どもを支援する民間団体とも協力関係を作りやすいため、まずは市町村が、児童虐待の早期発見・早期対応を行っていくことが大切である。
そして、虐待を受けた子どもを救う「最後の砦」である児童相談所にしっかりつないでいくためにも、県が市町村の取組を積極的に支援し、連携して虐待防止対策を進めていくことが必要と考える。
そこで、児童虐待を未然に防止するため、市町村と連携して早期発見・早期対応の取組をさらに進めるべきと考えるが、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯次に、児童虐待防止に向けた取組についてお尋ねがありました。
全国では、年間約80名もの幼い命が虐待によって奪われています。こうした悲惨な事件を防ぐには、虐待の芽を早期に発見し、いち早く対応することが重要です。
そのため、現在、各市町村では、児童相談所や警察、学校等を構成員とする「要保護児童対策地域協議会」を設置し、児童虐待の早期発見のための情報共有や、早期対応の方法などの協議を行っています。
また、県では、市町村をはじめ、日々子どもに接する保育所や幼稚園、病院などの職員を対象とした虐待予防研修を実施するなど、早期発見に向けた支援を行ってきました。
しかし、乳幼児健診を受けていない子どもや保育所等に通っていない子どもは、市町村等が関わる機会が限られ、虐待を受けていても、気付くことができないことが課題となっています。
こうしたことから、国は、今回の緊急総合対策の中で、「健診未受診者、未就園児、不就学児等の緊急把握」のための市町村調査を実施することとしました。
県では、この調査結果がまとまり次第、市町村と協力して、速やかに課題を検証し、対応策を検討します。
そして、検討結果をもとに、これまで見逃されがちだった子どもの把握方法や、安全が確認できなかった場合の対応方法などをまとめ、全ての子どもをしっかり守っていくためのマニュアルを、新たに作成します。
このマニュアルは、「要保護児童対策地域協議会」や研修などの場で共有して、虐待の早期発見・早期対応をさらに進めるために活用していきます。
県としては、今後も、市町村など関係機関と連携し、誰ひとり取り残すことのないよう、子どもたちを虐待から守る取組をしっかりと進めてまいります。

6) 神奈川県アレルギー疾患医療拠点病院の選定について

 

【亀井の質問要旨】

 国は、都道府県に対して、アレルギー疾患医療拠点病院を1~2箇所程度、選定するよう求めている。県拠点病院は、県内におけるアレルギー疾患医療の拠点となる医療機関であり、アレルギー疾患医療の体制が整っていることはもとより、治療実績を多く積んでいることも重要と考える。県内には、アレルギー科を設置している医療機関が複数あるが、重症な患者や難治性の患者を受け入れ、関係する複数の診療科が連携して治療に当たる等、適切な医療を提供している医療機関は限られており、アレルギー疾患に苦しむ多くの患者や家族のことを考えると、県は、アレルギー疾患医療の提供体制の整備に向けて、県拠点病院を早急に選定する必要があると考える。
そこで、神奈川県アレルギー疾患医療拠点病院の選定は、どのような考え方で選定するのか、また、1日でも早く選定すべきであると考えるが、どのように受けとめているのか、併せて所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯次に、神奈川県アレルギー疾患医療拠点病院の選定についてお尋ねがありました。
本県における、アレルギー疾患の診療ネットワークの中心的な役割を担う、県拠点病院には、診療、情報提供、人材育成、研究、助言、という5つの役割が求められています。
また、こうした役割に加え、様々なアレルギー疾患の医療を提供できるよう、内科や小児科、皮膚科など複数の診療科が連携し、診断や治療が行われていることも必要です。
さらに、県拠点病院には、今後、設置を予定しているアレルギー疾患対策推進協議会に参画し、医療提供体制の整備はもとより、医療従事者の知識や技能の向上等にも主体的に取り組んでいただくこととなります。
県は、こうした責務を果たせる医療機関を県拠点病院として、選定したいと考えています。
そこで、現在、アレルギー疾患専門医等を構成員とする選定部会において、医療提供体制や、アレルギー疾患対策の取組み等について意見を伺いながら、選定を進めています。
県としては、アレルギー疾患に苦しむ方々が、安心して適切な医療を受けられるよう、県拠点病院をできるだけ早期に選定し、本県のアレルギー疾患医療提供体制をしっかり整えてまいります。

7) 多死社会を見据えた死因究明体制の整備について

 

【亀井の質問要旨】

 本県は、全国平均を上回るスピードで高齢化が進展しており、医療提供体制の充実を進める中で、在宅医療への需要も高まっている。このため、在宅で最期を迎える高齢者の増加も見込まれることから、在宅での看取りや、孤立死対策を進める上で、在宅で看取りや検案ができる医師をより多く養成していく必要があると考える。また、県内の法医学者も不足しているとの報道もあり、犯罪死の見逃しを防止する観点から、こうした人員の育成に加えて、いわゆる「Ai」、死亡時画像診断など、最先端の技術を導入することにより、医師の負担を軽減することも必要と考える。
そこで、高齢化の進展による多死社会を見据え、在宅で看取りができる医師の増加など、死因究明体制の整備にどのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

次に、多死社会を見据えた死因究明体制の整備についてお尋ねがありました。
本県では急速な高齢化に伴い、一人暮らしの高齢者の増加が見込まれていることから、医師による自宅での「看取り」や、いわゆる「孤独死」への対応、さらには遺体の検案や解剖といった死因究明体制を整備することは、大変重要であると考えています。
このため県では、平成27年度に設置した「在宅医療トレーニングセンター」において、看取りの研修を行っているほか、昨年度から大学の法医学教室と連携し、「在宅看取り検案研修」を行なうなど、在宅で看取りができる医師の育成を図っています。
また、遺体をCTなどの画像診断装置にかけて死因を探る先端技術である「死亡時画像診断」の活用を図るため、今年度、横浜市立大学が行う設備整備に対し、経費の一部を補助します。
一方で、死因究明は裾野の広い分野であり、医学だけでなく、法制度、犯罪の見逃し防止、本人の身元確認など、多面的な視点での取組みが必要です。
そこで県では、こうした県内の死因究明の課題や対策を関係者が一体となって協議する場として、「神奈川県死因究明等推進協議会」を設置します。
この協議会には、医療関係者、法医学に関わる県内6大学をはじめ、警察本部、海上保安庁などにも参加いただく予定です。
既に、今月上旬に準備会を開催したところであり、今年度中に協議会を設置し、看取り人材の確保、検案や解剖の体制づくりなどの検討を行っていきます。
こうした様々な取り組みにより、多死社会に対応 できる死因究明体制の整備を進めてまいります。

8) ギャンブル等依存症対策について

 

【亀井の質問要旨】

本年7月に成立した「ギャンブル等依存症対策基本法」では、基本理念として、ギャンブル等依存症の各段階に応じた防止、回復のための対策の実施等について定めるとともに、国や地方公共団体の責務として、基本理念に則った施策の実施を定めている。また、国に対して、ギャンブル等依存症対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画の策定を義務付けるとともに、都道府県に対しては、基本計画に基づき、各県の実情に即した計画の策定を努力義務としている。
県では、これまでも依存症対策の1つとして、ギャンブル等依存症にも対応してきたと承知しているが、ギャンブル等依存症の問題の重要性を考えると、この度の基本法成立を踏まえた計画を策定し、本県の実情に即した取組を進めていく必要があると考える。
そこで、今後、ギャンブル等依存症対策にどのように取り組んでいこうと考えているのか、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

次に、ギャンブル等依存症対策についてお尋ねがありました。
ギャンブル等依存症は、本人やご家族の生活に支障を生じさせるものであり、多重債務や貧困、自殺等の様々な社会問題を引き起こすため、知識の普及や社会復帰の支援など、総合的に対策を進めることが重要と考えます。
本年7月に公布された「ギャンブル等依存症対策基本法」では、今後、国が策定する「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」に基づき、都道府県計画を策定するよう努めなければならないとされています。
そこで、県では、国の基本計画の状況を注視しながら、医療だけでなく、教育や就労などの分野と調整し、県計画の策定について検討していきます。
また、県では、アルコールや薬物の依存症対策と併せて、ギャンブル等依存症の対策も強化していきます。
まずは、本年10月を目途に、専門的な治療が受けられる医療機関を、「依存症専門医療機関」として、複数選定します。
そして、その中から、依存症に関する取組みの情報発信や、人材育成のための研修などを担う、「依存症治療拠点機関」を本年度中に選定し、拠点機関を中心とした医療連携体制を整備します。
さらに、県では、県立精神医療センターと協力して、医療機関の情報や支援団体の活動内容等を紹介するポータルサイトを開設し、患者や家族の方が、適切な治療や相談支援を受けられるようにします。
こうした取組みが、支援を必要とする方々に確実に届き、適切な治療や相談につながるよう、ギャンブル等依存症対策をしっかりと進めてまいります。

9) 新たな住宅セーフティネット制度について

 

【亀井の質問要旨】

「新たな住宅セーフティネット制度」に基づき、本県では、セーフティネット住宅の登録等を開始するとともに、賃貸住宅供給促進計画の策定に取り組んでいると承知している。この計画は、対象とする住宅確保要配慮者の範囲を地域の実情に応じて広げられ、要配慮者の住生活の確保と向上を実現するものだが、今後は、要配慮者の範囲を広げ、例えば、LGBT等多様化する要配慮者への住宅の提供が必要と考えている。また、多様化する要配慮者が登録住宅で安心して生活するには、見守りや相談など要配慮者を支える居住支援が不可欠であり、県や市町村の福祉部局やNPO等関係団体との連携も重要である。
そこで、賃貸住宅供給促進計画において、要配慮者の範囲をどのように考えているのか、また、要配慮者への居住支援の体制を充実するため、市町村や関係団体との連携をどのように進めるのか、併せて所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯最後に、新たな住宅セーフティネット制度についてお尋ねがありました。
この制度は、高齢者や障害者といった住宅確保要配慮者の居住の安定確保に資する重要な施策です。
県は、この制度に基づき、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録などを行っており、さらに、この制度を計画的に推進するため、賃貸住宅供給促進計画の策定作業を進めています。
この制度では、法令で高齢者、障害者等の方々を要配慮者の対象としていますが、供給促進計画に定めることで、さらに対象を拡大することができます。
この要配慮者の対象について、県が福祉団体等にヒアリングを行ったところ、団体からは、LGBTの方々や児童養護施設退所者が、特に、住宅探しに大変苦労している、とのご意見をいただきました。
そこで、こうした方々を、要配慮者として供給促進計画に追加します。併せて、高齢者等の支援を充実させるため、日頃の生活を支える方々も入居できるよう計画に位置付けます。
また、きめ細かい居住支援を行うためには、福祉団体、市町村の福祉部局、不動産団体等が連携を図る、市町村毎の居住支援協議会の設立を進める必要がありますが、設立予定を含め、3市に留まっています。
さらに、他の市町村にも設立していただくためには、関係団体等が、空き家や要配慮者の地域毎の状況を共有し、解決に向け連携を深めることが必要です。
そこで、県は、今年度、空き家率が高いなど共通の課題がある県西部や三浦半島などにおいて、関係団体等による意見交換会を開催し、顔の見える関係を築き、市町村毎の居住支援協議会の設立につなげていきます。
このように、県は、要配慮者の範囲を拡大するとともに、居住支援の充実を図ることで、住宅セーフティネットを更に推進してまいります。
 

10) 災害時における県営水道の受援体制について

 

【亀井の質問要旨】

 県営水道では、神奈川県営水道事業経営計画に基づき、災害等に備え、給水区域内の市町等との連携を深めていると承知しているが、大規模災害発生時に、被災した水道事業体だけで対応するには限界がある。自ら最大限の対応を行うことはもちろん、他の水道事業体等の応援受入れをスムーズに行う体制の整備も進める必要がある。
例えば、他の水道事業体に応援を依頼する際、応援事業体がスムーズに活動できるよう、水道施設・設備の特徴や応急復旧作業時における留意点などを簡潔に記載したマニュアル等を策定し、災害時の受援体制の強化に関する取組を進めるべきと考える。
そこで、災害時における県営水道の受援体制について、現在どのような取組を行っているのか、また、今後どのように充実強化を図っていくのか、併せて所見を伺いたい。
 

【 企業庁長の答弁要旨】

◯企業庁関係のご質問にお答えします。
災害時における県営水道の受援体制についてお尋ねがありました。
今年に入り相次いで発生した、地震や豪雨による大規模な自然災害は、いつ神奈川を襲ってもおかしくないことから、水道施設が被災した時に他都市からの応援をスムーズに受け入れるための体制の充実は喫緊の課題です。
大規模災害が発生した際の、応急給水や応急復旧などに関する応援については、全国の水道事業体が加盟する「日本水道協会」が体制を整えており、この枠組を通じて全国に応援を要請できる仕組みとなっています。
そして、企業庁では、こうした他都市からの応援が円滑に受けられるよう、これまで給水区域内の12市6町ごとに応援隊の受入れ方法や、応急給水拠点等の情報をお互いに共有するなど、災害時の受援体制づくりを進めてきました。                              
今後は、こうした市町ごとの情報を取りまとめ、水道施設の場所などを地図データで示すとともに、県営水道が使用している資機材の特徴なども分かりやすく整理し、応援に来た事業体が即座に活動できるよう「受援マニュアル」の作成を早急に進めます。
また、企業庁では、千葉県水道局や静岡県企業局と、災害相互応援に関する協定を個別に締結し、緊急時の連絡先や資機材等に関する情報交換を定期的に行っています。              
このように、相互応援協定を締結し、日頃から緊密な情報交換を行うことにより、迅速な応援を受けることが可能になります。そこで、大規模地震等の発生時における交通アクセスや相手方の事業規模等を考慮し、まずは中部・近畿エリアの水道事業体を対象に、相互応援協定の締結を広げていきます。
さらに、今後、協定締結先の水道事業体と給水車の相互派遣や、お互いの資機材の操作など、実働的な訓練を実施し、より緊密な連携を図ります。
 こうした取組みを通じて、企業庁として災害時の受援体制の、一層の充実・強化に努めてまいります。
私からの答弁は以上です。

11)インクルーシブ教育の推進について

 

【亀井の質問要旨】

 インクルーシブ教育実践推進校の拡大により、知的障がいのある生徒が高校で学べる機会が増えることは大変意義があるが、これまでパイロット校に志願できる知的障がいのある中学生は、各パイロット校と連携する中学校に在籍する生徒に限られていた。こうした中、足柄高校では、平成31年度入学者選抜から、連携中学校以外の中学校からも志願できるよう、特別募集も実施することになったと承知している。
もちろん、生徒の特性を考えると通学できる範囲は自ずと限られてくるが、知的障がいのある生徒が高校で学ぶ機会を増やすためにも、募集の在り方について検討が必要と考える。
そこで、平成32年度スタートの、県立高校改革実施計画・Ⅱ期において、インクルーシブ教育実践推進校に入学を希望する生徒への対応について、どのように考えているのか、所見を伺いたい。
 

【 教育長の答弁要旨】

教育関係について、お答えします。
インクルーシブ教育の推進についてです。
県教育委員会では、知的障がいのある生徒が高校に進学できるよう、県立高校改革実施計画・Ⅰ期において、県立高校3校をインクルーシブ教育実践推進校のパイロット校に指定し、平成29年度から、連携型中高一貫教育の仕組みにより、連携募集を実施してきました。                 
また、3校の内、足柄高校では、平成31年度入学者選抜から、連携募集に加え、特別募集を実施し、障がいのある中学生が志願できる地域を県西地域全体に拡大することとしています。 
また、小中学校においても、モデル校で実施している、すべての子どもができるだけ通常学級で学ぶ「みんなの教室」の成果を全県に普及するよう取組を進めています。
このように、各校種でインクルーシブ教育が進みつつある中、市町村教育委員会や中学校、保護者のご要望に応え、義務教育段階から高校までの連続した学びの中で、インクルーシブ教育を実践していくことが求められています。
そのためには、県内の全ての地域で希望する知的障がいのある中学生が、県立高校を志願できる仕組みが必要です。
そこで、県立高校改革実施計画・Ⅱ期では、県内各地域において、知的障がいのある生徒が1時間程度で通学できるよう、新たに10数校をインクルーシブ教育実践推進校に指定することを検討しています。
また、入学者選抜については、幅広く生徒の募集ができるよう、これまで実施してきた連携募集ではなく、県内の中学校に在籍する知的障がいのある生徒を対象とした、特別募集により実施したいと考えております。
以上でございます。


◉平成29年 第2回 定例会 代表質問

■ 有事の際に備えた自衛隊との連携について

【亀井の質問要旨】

 北朝鮮は、核実験を強行し、ミサイル発射を繰り返している。本県は、沖縄県に次ぐ第二の基地県であり、北朝鮮の攻撃の目標となっているという報道もある。さらに、世界各国でテロが発生している現状から、多くの県民の不安の声を聞くことも多くなっている。こうした中、今後の本県行政の舵取りにおいて、「危機管理」は重要なキーワードであり、とりわけ有事の際における経験や知見、機動力、マンパワーを持つ自衛隊との連携が重要になると考える。
そこで、ミサイル発射などの有事の際や有事が予想される事態、さらに被害が生じた後の対応において自衛隊との連携を強化していくことは重要だと考えるが、これまでの取組を踏まえ、今後、どのように連携強化を図っていくのか、所見を伺いたい。
 

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯2011年の東日本大震災や昨年の熊本地震、今年7月の北九州豪雨災害などにおける過酷な災害現場には、常に自衛隊の姿がありました。その献身的な活動に被災者はもとより、多くの国民が感動し、感謝したところです。
 本県でも、大規模な災害対策やテロ対策における自衛隊との連携は、消防、警察と同様、極めて重要なものと認識しています。
 県では、日頃から、自衛隊をはじめ、消防、警察、海上保安庁などの実動部隊の代表者で構成する、「防災・危機管理対策連絡会議」をはじめ、様々な会合を通じ、顔の見える関係の中で情報共有や意見交換を実施しています。
 また、「ビッグレスキューかながわ」や、国民保護訓練など、大規模な実動訓練の実施にあたり、自衛隊の積極的な参加を得て、災害や有事に備えて、緊密な連携を図っています。
 さらに、安全防災局にかねてから自衛隊の退職幹部を受け入れており、その知見や経験、人脈は、県の危機管理対策における、自衛隊との連携強化に大きな効果を発揮しています。
 一方、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃のような、武力攻撃の際には、その状況によって、住民の救出救助の方法も地震などの自然災害とは、自ずと異なってきます。
 自衛隊は、防衛任務の役割を担うことになるため、自然災害と同じレベルの協力を求めることは、なかなか難しいことが想定されます。
 このため、まず消防や警察などと連携して対応することになりますが、これまで実施してきた「ビッグレスキューかながわ」や国民保護訓練で培ったノウハウは、必ずや発揮できるものと確信しております。
 また、自衛隊による避難住民の誘導や救援などが不可欠な場合は、防衛任務に支障のない範囲で、派遣を要請できますが、その際にも、これまで私が構築してきた自衛隊との信頼関係や結びつきが活きるものと考えます。
 県としては、引き続き自衛隊と情報共有や意見交換を行い、緊密な信頼関係と連携体制をしっかり維持してまいります。
 

■共生社会について

【亀井の質問要旨】

  真の共生社会推進には、高齢者や障がい者への配慮が重要である。しかし、そうした方々を支える支援の現場で、施設従事者による虐待事案も多く発生している。「真の共生社会」や「ともに生きる社会づくり」を進めるには、これまでのように分野ごとに縦割りで取り組むのでなく、支援を必要としている人に寄り添いながら、横串をさして取り組んでいかなければならないと考える。
そこで、①真の共生社会づくりに向けて、津久井やまゆり園再生基本構想案で示された、意思決定支援や人材育成について、今後の障害福祉施策において、どのように展開していくのか。また、②現在、地域福祉支援計画の改定作業を進めていると聞くが、次世代を担う若者世代の意識啓発や、分野横断的に共生社会づくりに取り組むことが重要と考えるが、どのように取り組むのか、併せて所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯津久井やまゆり園再生基本構想案では、厚生労働省の「意思決定支援ガイドライン」を参考に、利用者の意思決定支援に丁寧に取り組んでいくこととしています。                 
この意思決定支援では、利用者へのサービス計画を作成する「相談支援専門員」が中心となって、利用者への意思確認を行うこととなっていますが、本県では、この「相談支援専門員」の人数やスキルが不足している状況にあります。          
そこで、今後は、研修の充実などにより、「相談支援専門員」の養成数を増やし、支援技術を高めていくとともに、相談支援事業所への補助により、事業所内で相談支援に従事する専門員の拡充を図っていきたいと考えています。
また、意思決定支援を広く展開していくためには、ご家族や施設職員など障がい者を支える方々の理解も必要です。
意思決定支援の意義や内容について説明する機会を増やすなど、積極的な啓発活動を行ってまいります。
次に、分野横断的な共生社会づくりについてです。
地域には、障がい者のほか、高齢者や子ども、外国籍の方など、様々な方が暮らしており、これらの方も含めた「ともに生きる」共生社会づくりが重要です。
県では、より若い世代から共生社会への意識を高めるため、県内の小中学生を対象とした「福祉作文コンクール」を実施していますが、今後は、応募する小中学校を増やすとともに、高校生にも応募を呼びかけるなど、対象を拡大したいと考えています。 
また、「神奈川県地域福祉支援計画」の改定に当たっては、「福祉」に限らず、「雇用」、「住まい」、「教育」など分野横断的な支援体制を新たに構築し、分野別、年齢別の縦割りの支援ではなく、当事者中心に横断的な支援のできる人材の育成などについて検討していきます。
これらの取組みを通じ、「誰も排除しない、誰も差別されない」共生社会づくりを推進してまいります。

■超高齢化社会の進展を踏まえた救急医療体制の整備について

【亀井の質問要旨】

   超高齢化社会が急速に進む本県において、高齢者が住み慣れた地域で安心して在宅療養生活を送ることができる地域包括ケアシステムを推進するため、まずは、「0.5次機能」として県民向けの救急電話相談・医療機関案内サービスを充実していくこと、また、在宅高齢者の急病時の一時的な入院の受け皿となる病床の整備など、その体制整備に向けて、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯これまで県では、軽症患者を受け入れる初期救急から、重症患者に対応する三次救急まで、救急医療体制の体系的な整備を、医療機関や市町村と連携して進めてきました。
 また、子どもの夜間における急な体調不良に対応する県民向けの電話相談、「#8000」や、医療機関向けに患者の搬送先を選定する代行業務にも取り組んできたところです。
 救急電話相談では、すぐに受診できる医療機関を案内する「医療機関案内」と、患者に救急対応が必要かをアドバイスする「救急相談」があり、この2つの機能により、患者の症状に応じた適切な救急医療機関の利用が期待されます。
 現在、横浜市が、24時間体制でこれら2つの機能を担う「#7119」を導入しているほか、川崎市などの9市でも、市民向けの医療機関案内を行っており、相談件数は増加していると伺っています。
 横浜市のような救急相談体制を全県に拡大するためには、市町村の既存の取組みとの連携や役割分担、財源負担といった課題がありますので、今後、これらの課題を踏まえ、検討を行っていきたいと考えています。
 一方、高齢者の急な入院やその後の対応としては、回復期の病床機能を充実することが重要です。そこで、県では「医療介護総合確保基金」を活用し、回復期病床の整備や在宅医療との連携などに対し、支援を行ってきました。
 今後は、こうした支援を継続するとともに、県内8地域に設置した「地域医療構想調整会議」などを活用して地域の医療関係者の意見を伺い、各地域の実情に応じて回復期病床の整備や転換が円滑に進むよう調整に努めていきます。
広域自治体として、超高齢化社会に対応した救急医療体制がしっかりと構築できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。

■保育補助者の積極的な活用について

【亀井の質問要旨】

  待機児童解消の実現に向け、保育士の確保や定着を図るためには、保育士の負担を軽減する「保育補助者」の積極的な活用を図るべきと考えるが、所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

◯機児童ゼロを実現するためには、保育士の確保は必要不可欠です。
そこで、県はこれまで、県独自の地域限定保育士試験を実施して、保育士資格の取得と、県内での就労を促進するほか、保育士・保育所支援センターによる潜在保育士の復職支援にも取り組んできました。
そうした中、県が実施した「保育士実態調査」では、「職場に改善して欲しいこと」として、「職員数の増員」と「事務・雑務の軽減」が上位を占め、保育現場における多忙感や負担の大きさが明らかになっています。
具体的には、保育現場では、遊具の準備や、給食の配膳・後片付けなど、必ずしも専門的な知識や技術を必要としない業務もあります。
それらの業務を保育補助者に担ってもらえれば、保育士の負担を減らすことができ、意欲向上や離職防止にも効果があります。
一方、保育現場には、「何の研修も受けていない者が保育に携わるのは不安だ」という声もあります。
そこで、今後、「子育て支援員研修」の仕組みを活用して保育補助者に2日程度の受講を促し、基礎的知識を学んでもらうことで、補助者の質を確保し、保育現場の不安を軽減します。
さらに、保育士・保育所支援センターを通じて、研修を修了した保育補助者の就職をあっせんするなど、現場への保育補助者導入を促進します。
人材が不足する保育現場は、育児経験のある方はもとより、「人生100歳時代」を迎えた今、生きがいを求める高齢者にとっても、活躍できる場の一つです。
そこで、こうした高齢者への働きかけも含め、保育補助者の活用を進めることで、保育士確保を図り、待機児童の解消を実現してまいります。

■多様な教育支援について
(1)インクルーシブ教育実践推進校の拡大について

【亀井の質問要旨】

 県立高校改革実施計画における、インクルーシブ教育実践推進校の拡大について、パイロット校の状況を踏まえ、現在、どのような考えで検討が進められているのか、また、Ⅱ期計画では、何校程度まで拡大するのか、併せて所見を伺いたい。

【県教育長の答弁要旨】

◯インクルーシブ教育実践推進校については、知的障がいのある生徒が高校教育を受ける機会を拡大するため、現在、茅ケ崎高校、厚木西高校、足柄高校の3校を、先導的な取組を行うパイロット校に指定しています。
パイロット校には、この4月に、合計で31名の、障がいのある生徒が入学し、一人ひとりが、必要な支援を受けながら、充実した高校生活を送っています。
現在、パイロット校は、中学校から連続した学びの中でインクルーシブ教育を実践できるよう、学校教育法等に基づく、連携型中高一貫教育を実施しています。そのため、志願できる障がいのある中学生は、各パイロット校が所在する地域の中学校に在籍している生徒に、限られています。
そうした中、県教育委員会には、パイロット校のない地域の保護者の皆さんや中学校長、市町村教育委員会などから、インクルーシブ教育実践推進校の早期拡大について、要望が寄せられております。
こうしたことを踏まえ、県内各地域の障がいのある中学生が、通学できる範囲に、少なくとも1校は、実践推進校が必要と考え、来年秋に策定する、平成32年度スタートの、県立高校改革Ⅱ期の実施計画に向けて、指定校の拡大を検討しているところです。
Ⅱ期計画で指定する学校については、今後、具体に検討してまいりますが、県内のすべての地域を対象とするため、通学時間を考慮すると、現在の3校のパイロット校のほかに、10数校の県立高校を指定する必要があると考えております。
県教育委員会では、実践推進校を全県に拡大することにより、すべての県立高校生が、相互理解を深めながら成長し、将来、神奈川における、共に生きる社会の担い手となって活躍してもらえるよう、取り組んでまいります。

■多様な教育支援について
(2) 県立高校における通級指導の実施について

【亀井の質問要旨】

  通級指導を行う県立高校をどのような考えで選定しようとしているのか、また、今後の準備の進め方について、併せて所見を伺いたい。

【県教育長の答弁要旨】

◯県教育委員会では、高校での通級指導が可能となる国の制度改正を受け、県立高校改革Ⅰ期計画を変更し、平成30年度から通級指導を行う県立高校を複数校指定することとしています。
通級指導については、既に県内小・中学校で実施され、小学校は、県全域で88校、中学校は、3政令指定都市で合わせて10校で行われています。
また、県立高校においても、発達障害等の支援が必要な生徒を、国の研究開発校の取組の中で指導したり、特別支援学校と連携しながら指導を行ってきた学校があります。
高校への通級指導の円滑な導入のためには、通級を行っている小・中学校との連携や、県立高校での取組実績を考慮して指定校を選定することが望ましいと考えております。
こうしたことから、現在、横浜、川崎、県央の各地域の県立高校から、それぞれ1校は選定したいと考え、最終的な調整を進めているところです。
また、来年4月からの通級指導の準備を進めるに当たっては、個々の生徒の障害に応じた指導や支援ができるよう、担当する教職員の資質の向上や、校内の指導体制を整えていくことが重要です。
そのため、指定校の決定後は、教職員に研修を実施するとともに、特別支援教育に関する知識や経験のある教員を配置するなど、4月の導入に向け準備してまいります。

■県営住宅の管理について

【亀井の質問要旨】

  県営住宅の管理のうち、入居者の常時募集、入居名義の引継ぎ、自治会活動への支援について、どのように対応しようと考えているのか、所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

県営住宅では、入居者の高齢化や空き家の増加などの、様々な課題について検討を進め、その成果を平成30年度に改定する「ストック総合活用計画」に反映することとしていますが、一定の成果が期待できる施策については、速やかに取り組むことが重要です。
そこで、まず、入居者の常時募集についてです。
募集戸数の拡大は、空き住戸の活用と家賃収入の確保の面から有効です。
そのため、昨年度から常時募集の戸数を増やしていますが、今年度は、さらに、定期募集で入居者が決まらなかった住宅を対象として、戸数の追加と期間の延長をしていきます。
次に、入居名義の引継ぎについてです。
県営住宅の入居は、公募が原則ですが、入居名義人が死亡したなどの場合、例外として、同居している配偶者等に名義を引き継げることとしています。
しかし、ここ数年、これまで認めていない子や孫からの求めが増えていますので、新たな入居希望者との公平性の観点から、どこまでを公募の例外とすべきか、専門家の意見を聞きながら検討していきます。
最後に、自治会活動の支援についてです。
高齢化が進む県営住宅では、草刈や清掃などが実施困難な自治会があり、外部委託する仕組みを現在、検討中です。具体的には、団地の規模や立地などの特性に応じて、委託内容や契約の手順などを整理し、各団地に提供していきます。
こうした取組を「ストック総合活用計画」の見直しと並行して進めていくことで、今後一層、県営住宅が住宅セーフティネットとしての役割を果たすことができるよう取り組んでまいります。

■神奈川の水道について (1)渇水対策について

【亀井の質問要旨】

平成7・8年度当時の経験や今年の状況を踏まえ、渇水に向けた対応マニュアルを整
備し、事前に関係者の考え方を統一して、迅速に対応できる環境を構築しておく必要があると考えるが、所見を伺いたい。

【県 企業庁長の答弁要旨】

○県は、これまで20年間は一度も渇水になりませんでしたが、今年は梅雨が記録的な少雨となり、宮ヶ瀬ダムが完成以来最低の水位になるなど、8月下旬からの給水制限も覚悟せざるを得ない状況になりました。
この間の渇水対策としては、事前に国と共に整理した基本的な方針に沿って、7月中旬より相模川からの取水量を制限し、8月上旬には東京都に対して、東京分水を削減する旨の予告も行ったところです。
その後、台風5号などにより貯水量が一定程度回復し、ひと段落していますが、県内4水道事業者や東京都と対策を調整してきた中で課題が見えてきました。
 本県の渇水対策の基本は、相模、城山、宮ヶ瀬の相模川水系3ダムが3ヶ月後には空になると予測された時点から対応を開始し、空になるのを5ヶ月先まで延命させるような対策を講じていくことです。
具体的には、3ダム合計貯水量が3ヶ月分に相当する1億5千万トン、夏の時期の貯水率で70%を割込むレベルに低下した段階から、相模川からの取水を抑制し、酒匂川に振り替える水系間の連携を開始します。
さらに、貯水率が40%を割込むレベルになると、東京分水削減や、県民への給水制限と節水の要請を実施し、以降、貯水量の低下に応じて対策を強化します。
このように、現在は、相模川水系の貯水量のみに着目して対応方針が整理されていますが、実際には三保ダムに水が貯まっていない場合や、梅雨期に貯水量が大幅に減少する異例の事態もあり、渇水対応のバリエーションを増やす必要があると強く感じました。
そこで、今年の状況を教訓として、相模・酒匂両水系の貯水状況を比較しての対策や、夏季、冬季など実施時期に応じた対策が迅速に講じられるよう、水道事業者と協議し、東京分水の扱いも含めた、より実践的な対応マニュアルを作成してまいります。
 

■神奈川の水道について (2) 水道管路の更新について
【亀井の質問要旨】

県民のライフラインを守るために管路更新のスピードを上げていくことが急務だと考えるが、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

【県 企業庁長の答弁要旨】

○老朽化した水道管路の更新は、災害に対する備え、漏水事故防止等の点から、早急に進める必要があり、全国の水道事業者共通の最重要課題となっています。
 これに対して県営水道では、平成26年度から5ヵ年の水道事業経営計画を策定して、財政収支を見通し、限りある財源の中で、できる限り最大の管路更新に取組んでおり、具体的には、毎年約60kmの管路を更新しています。
 ただ、これを更新スピードの面でみますと、県営水道は給水区域が12市6町の広範囲にわたり、管路の総延長が9,200kmに及ぶこともあって、管路更新率は0.6~0.7%程度に留まり、全国平均を下回るレベルになっています。
 さらに、現在の更新スピードのままでは、将来、水道管の維持管理が困難となり、健全な水道事業運営に支障をきたす可能性があるといえます。
こうしたことから、管路更新は目標を定め、段階的に更新率を向上させていくことが必要です。
目標の考え方としては、現在の水道管は耐震性に優れ、腐食にも強く、100年以上の耐久性が期待できることから、100年に1回更新するペース、更新率として1%を目指さなければなりません。
しかしながら、これを実現するには、現在の年間更新費用約100億円の1.5倍以上の財源を毎年確保する必要があるほか、工事発注量に応じた職員の体制強化や発注方法の工夫、さらには工事を行う事業者側の人材確保・育成などの課題があります。
そこで、今後、次期経営計画を策定する中で、こうした課題解決の方策を含め、計画期間内に更新率を1%に向上させることを検討し、管路更新のペースを、現在の160年に1巡から、100年に1巡するよう、スピードアップを図ってまいります。

■ 中小企業支援機関の連携強化について

【亀井の質問要旨】

県内中小企業・小規模企業のライフステージに合わせた効果的かつ総合的な支援を図るため、今後、県として中小企業支援機関の連携を強化していくことが必要と考えるが、所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

○中小企業・小規模企業の多様化、複雑化する経営課題の解決のためには、創業期、拡大期、再生期といった企業のライフステージに応じて、支援機関の柔軟な組合せを図り、相互に連携して、よりきめ細やかな支援を行っていくことが必要です。

例えば、再生期の企業における円滑な事業承継には、後継者の育成や税務、資産評価などをサポートする体制の充実が求められています。
そのため、県は中小企業支援機関や市町村等に呼びかけて、7月に、公益財団法人神奈川産業振興センターを中心とする「事業承継ネットワーク会議」を立ち上げ、「オールかながわ」による連携体制の強化を図ったところです。
今後は、県内6地域において、税理士や信用金庫など、地域に根ざした支援機関を中心とする機動的な体制で情報の共有を図り、企業の課題に迅速・的確に対応していきます。
また、創業期や拡大期においては、「中小企業・小規模企業活性化推進計画」に掲げた「経営と技術の一体的な支援」に加え、資金調達面のサポートを行う、金融を含めた支援体制の充実が必要です。
そこで、現在、神奈川産業振興センター、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所、日本政策金融公庫、神奈川県信用保証協会との間で、企業の創業やイノベーション促進のための一体的支援の強化に向けた、業務協力協定の締結の検討を進めているところです。
今後も、企業のライフステージにおける様々な課題を解決するため、こうした支援機関の力を結集して、連携体制の充実・強化に取り組み、中小企業・小規模企業の更なる活性化を推進してまいります。

■ 人口減少期における市町村の広域連携について

【亀井の質問要旨】

  将来の市町村像をしっかりと見据え、持続可能な行財政基盤を確保していくためには、さらなる市町村間の広域連携の取組が必要と考えるが、今後、どのように市町村間の広域連携の取組を進めていこうと考えているのか、所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

○人口減少・少子高齢化が進む中で、必要な行政サービスの水準を維持していくためには、単独の市町村が、全ての行政サービスを提供するフルセット型の行政ではなく、複数の市町村が連携して行政サービスを提供する広域連携の取組みが極めて有効です。
これまでも県内の市町村では、ごみ処理や消防、情報処理分野でのシステムの共同化など、地域の実情に応じて、事務の委託や一部事務組合など、様々な手法を活用し広域連携を進めてきました。
そして、これらの動きに対し、県は、市町村自治基盤強化総合補助金による財政的支援や、権限移譲を受ける市町村に対し県職員の派遣などの人的支援を行い、市町村間の広域連携を後押ししてきました。
そうした中で、平成26年には、「連携協約」という新たな手法が創設されました。
これは、国家間の条約のように、自治体間で協約を締結することで、中心となる自治体に公共施設を集約させたり、各種公共施設の設置を分担し合ったりすることが可能となることから、広域連携の取組みがさらに広がるものと考えています。
こうした広域連携は、まずは市町村が主体的に取り組むことが重要ですが、人口減少社会を迎えた今、県としても、これまで以上に市町村の取組みを積極的に支援していく必要があります。
そこで、今後、市町村の皆様の意見も伺いながら、それぞれの地域の特性を踏まえた具体的な広域連携のあり方について、県が市町村と一緒になって検討していく場づくりを進めるなど、市町村の広域連携の取組みをしっかりと後押ししてまいります。

■働き方改革について

【亀井の質問要旨】

  サービスを提供する職員と、県民の双方にメリットがあり、生産性の向上に繋がる、真の「働き方改革」とするため、今後、具体的にどのように取り組むのか、所見を伺いたい。

【黒岩県知事の答弁要旨】

○私が、働き方改革を進める上で何より重要と考えているのは、職員同士でしっかりと議論し、一人ひとりが自分の頭で考え、納得することです。
そのため、職員向けに「働き方改革ポータル」を開設し、改革の取組状況を見える化するとともに、自由に業務改善提案や意見交換を行う電子会議室を設置するなど、職員参加のもと改革を進めています。
先日、幹部職員の研修に、ある企業の幹部をお招きしました。その企業では、部署や役職の垣根を越えて全社員が繰り返し議論し、目標を共有することで、働き方改革と顧客サービスの向上を両立させているとのことでした。
今後、こういった経験を参考に、県庁の中でもさらに議論を活性化させ、職員が主体的に改革に取り組む組織風土を定着させていきます。
また、ベテラン職員が大量退職する中、仕事の質を確保していくことが重要です。そのため、高い専門性をもった職員の育成や、管理監督者のマネジメント能力の向上を図る研修を充実していきます。
さらに、業務見直しや職場環境づくりも大切です。
そこで、今年の政策議論の場では、限られた資源を最大限に活用し、新たな課題にしっかりと対応するため、事業の見直しや改善に積極的に取り組むよう、私から各局長に指示したところです。
また、今年度から、育児や介護に関わる職員を対象とした在宅勤務を導入するとともに、出張した際、近くの合同庁舎等で仕事ができるよう、サテライトオフィスも4箇所、設置しました。
7月からは、制度の充実に向け、在宅勤務の対象の全職員への拡大と、サテライトオフィスの利用条件を緩和する、「テレワークトライアル・イン・サマー」を実施しました。利用者からは、「時間を有効に使えた」、「仕事に集中できた」といった声が寄せられています。
今後とも、全ての職員が活躍できる職場環境づくりに向けて、テレワークの充実や、ICT環境のより一層の整備も含め、検討を進めていきます。
働き方改革は待ったなしの課題であり、こうした取組を全庁一丸となって進めることにより、組織としての生産性を高め、県民サービスの向上につなげてまいります。

■神奈川県立保健福祉大学の
三浦半島地区への地域貢献策等について

【亀井の質問要旨】

 県立保健福祉大学が、平成24年度末に開学10周年を迎えるに当たり、保健福祉大学のこれまでの歩みに関する認識を伺う。また、今後の10年の医食農同源など地域貢献の取組みをどのように進めていくのか併せて所見を伺う。

【黒岩県知事の答弁要旨】

○保健福祉大学はヒューマンサービスの実現を目指して、平成15年に開学し、本年度末に10周年を迎えます。
○これまで、看護、栄養、社会福祉、リハビリテーションの分野で約1,400人の人材を輩出してきましたが、この間の各種国家試験の合格率は全国平均を上回り、就職率は95%以上を維持しております。
○また、実践教育センターでは、看護や福祉の現場で活躍している方々のレベルアップを目的として、看護や介護の教員、病院での実習指導者、認定看護師の養成など、保健・医療・福祉人材の実践力の向上に取り組んでおります。
○さらに、平成19年には、大学院を開設し、保健・医療・福祉の研究者や現場の指導者の養成も開始しました。
○このように、保健福祉大学は、県内の保健・医療・福祉の人材育成に大きく貢献してきたと認識しております。
○今後10年の地域貢献の取組みに当たっては、ヒューマンサービスの理念の具体化を目指して、地域貢献・研究に係る学内外の連携調整や情報共有・発信を一元的に行う「地域貢献研究センター」を来年度中に開設いたします。
○また、大学の教員が高校の授業や地域の理学療法士の会合で出前講座を行ったり、学生サークル「シーラボ☆」が三浦半島の食材なども使った健康メニューを横須賀市役所や地域の事業者の食堂等に提供しています。
○また、高台の空き家にシェアハウスして住んでいる学生達が、近くの高齢者の買い物を手伝うなどの生活支援も行っております。
○今後とも保健福祉大学では、こうした地元に対する貢献を進めてまいります。

■いじめた子どもへの指導・支援について

【亀井の質問要旨】

 
いじめた側の子どもたちに対して、どのような指導、支援が必要であるのか、中でも、いじめを繰り返してしまうような子どもへの対応策について、どのように考えるのか所見を伺う。また、これまで、主に被害にあった子どもへの支援を中心に派遣してきた学校緊急支援チームの取組など、県教育委員会が行ういじめ対策の中で、子どもにいじめを繰り返させないという観点から、いじめた側の子どもへの指導・支援をどのように進めていくか併せて伺う。

【教育長の答弁要旨】

○いじめに関して、いじめた側の子どもたちへの指導・支援について、お尋ねがございました。
○いじめ問題への対応にあたっては、まずは、いじめられた子どもを最後まで守り通すことが大切であり、そのための支援を最優先に行う必要がございます。
○こうした取組にあわせて、いじめた側の子どもに対しては、どのような行為がいじめにあたるのかを気付かせるなど、適切な指導や支援の取組が必要でございます。
○中でも、いじめを繰り返し行う子どもへの指導については、繰り返し行ってしまう背景や要因を、的確に把握し、一人ひとりの状況に応じた対応策を講じることが重要でございます。
○こうした考えのもと、現在、各学校では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと協力し、家庭環境の問題や人間関係のストレスなど、個々の背景に応じた支援に努めております。
○さらに、学校では対応が難しい、緊急度の高い事案に対して、県教育委員会では、指導主事や臨床心理士を、学校緊急支援チームとして派遣する体制をとっております。
○しかしながら、これまでの取組は、いじめられた子どもへの支援に重きを置いたものとなっており、いじめた側の子どもが抱える、背景や要因に応じた対応については、必ずしも十分とは言えませんでした。
○そこで、今後は、従来のチームに加えて、新たに、いじめた側の子どもへの指導・支援を行うチームを編成し、同時に2つのチームを派遣する体制を整えてまいります。
○さらに、いじめを繰り返す子どもたちの立ち直りに向けては、児童相談所をはじめ、警察や保護司などとも、十分連携を図りながら、支援の充実に努めてまいります。